A)何も特別なことはしていません(笑)。基本はステップアップ方式です。そして出来るだけ原因究明をすることと患者さんの負担を少なくすることに注力しています。
患者さんの負担を少なくするということを具体的に言うと患者さんの身体に負担をかけないということと、経済的な負担を少なくするということです。そのためには患者さんの治療は個別のオーダーメイド医療になります。そして体外受精などのARTの場合も採卵数を抑え、多胎を防ぐための工夫を施します。
また、患者さんの経済状態も考え、できるだけARTになる前に妊娠できるような工夫もしております。
受付は広く、使い勝手が良く出来ています。 |
Q)北海道には不妊専門医が少ないと思うのですが理由はなんでしょうか?
A)1つは北海道の大学教育の所為だと思います。大学では不妊治療は新しい分野なのであまり力を入れていません。先程申しましたとおり、オンコロジーや周産期医学がメインで不妊医療については弱いから人材が育たないという訳です。
Q)貴院のメンタルサポートを教えてください。
A)当院ではケースバイケースで私やナースがメンタルなサポートを行なっており、不妊に悩む方々に対しての心のケアを重要視しております。その一環として、不妊カウンセリング学会の来年度学会長を私が務め、学会を招集いたします。そしてこのカウンセリング学会にナースは定期的に参加しています。
また、不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターの養成講座も受講し、これらの資格を取得しております。6月からは、心理士によるグループカウンセリングも開始致しました。そのために新しいスペースを作りました。
Q)患者さんに対して生活上のアドバイスがあれば教えてください。
A)あまり私からは積極的にいうことはありません。でも質問が来る場合にはきちんとお答えしております。それは親切に言っても場合によっては言葉の暴力になることもあり、難しいと思うからです。
採精室です。男性用待合室もあり、男性への配慮も細やかです。 |
Q)AIDやエッグドナー、代理母についてのご意見をお願い致します。
A)代理母は良くないと思っております。それは代理母自体に危険を及ぼす可能性があるからです。しかし、エッグドネーションはやってみるべきだと思います。それは卵巣を除去した方や早期卵巣不全の方には福音であり、産みたい人の権利だと思います。
採卵で多く採れた方の卵のシェアリングは一考の余地があると思います。誰も傷つかないし、無駄な治療をしなくていいのでメリットが多いと感じます。きちんと法整備してこういう仕組みが出来れば多くの患者さんがハッピーですよね。AIDも夫婦が納得しているならOKだと思います。
Q)将来のビジョンについて教えてください。
A)地域の人に貢献する、これが一番大事です。そして悩んでおられる患者さんのニーズにどこまでこたえられるか?これが次のテーマです。また科学的な部分として、出生前診断については来るべき次世代にむけて準備をしたいと思います。
Q)貴院のスタッフの体制、チーム医療について教えてください。
A)医師2名、エンブリオロジスト5名、リプロダクティブナース10名、不妊認定看護師1名(計11名)の体制で治療をしています。私がいつも心がけている事は、スタッフは常に磨かれていないといけないということです。そのために優秀な人材を雇用して、その上に教育や研修にどんどん投資しています。そうすることにより、より良いチーム医療が実現できるのではないかと考えています。
また昨年は、国際的な認証企画のISO9001を取得し、さらに本年2月には日本生殖医療標準化機関(JISSART)による体外受精の施設認定を得ました。外部から自施設を客観的に評価してもらうことで自己研鑽を怠らないようにしています。でもまだまだ努力が必要ですね。