睡眠とホルモン
■成長ホルモン妊娠に関連するホルモンと睡眠は実は密接な関係にあります。成長ホルモン(GH)は徐波睡眠の開始に同期して分泌が高まります。ノンレム睡眠がしっかりと取れるかどうかで成長ホルモンの分泌量が変わります。「寝る子は育つ」という言葉はその通りということができます。このホルモン分泌は成人や老人にも見られます。そして蛋白質や核酸の合成を促進する作用で体の修復と疲労回復に重要な役割を果たしています。
そして成長ホルモンとその他の脳下垂体前葉ホルモンは密接な関係にあり、成長ホルモンは他のホルモンを調整する働きを持つそうです。よって、成長ホルモンの正常な分泌は妊娠に関連するFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体刺激ホルモン)の分泌にも影響があると考えられます。(アメリカアンチエイジング学会発表内容より)
■性腺刺激ホルモンと睡眠
そしてLH(黄体形成ホルモン)は,男女とも第2次性徴期になると,睡眠中に分泌が高まります。このホルモンは女性の場合は卵胞から排卵をおこさせて黄体を形成させる働きをもっていますが、男性の場合は睾丸に作用して男性ホルモンであるテストステロン(T)の分泌を促進します。テストステロンの血中濃度も睡眠中に増加し、思春期の男子に顕著にみとめられます。睡眠中に多量に分泌される性腺刺激ホルモンと性ホルモンによって,第2次性徴が促進される訳です。
だから身体が成熟する年代に夜更かしをする生活をしているときちんと生殖能力的にも成熟しないという可能性があるということです。眠ることは性成熟にとって極めて重要であることがわかりますよね。性成熟が完了した成人では、昼夜の分泌量の差はほとんどなくなり、一定水準の分泌が維持されるそうです。
眠さをこらえて仕事をしている女性も増えています。 |
女性には思春期から更年期まで月経周期や妊娠・哺乳の時期があります。最近の研究では成人女性の40%が月経に関連して睡眠に変動があると答えており、その90%以上の人が月経前(黄体期)で睡眠時間が延び、日中の眠気も強まること、この過眠傾向は月経期にも引き続いて認められると報告されています。
仕事をしている女性が増えている現状と年々忙しくなるビジネス環境を考えるとこのホルモンの働きと女性の身体と仕事のストレスがどのように影響するのか想像に易いですね。眠いのに働かなければならないビジネス環境が妊娠にマイナスに働くのではないかと思いますよね。
■ホルモン分泌と睡眠時間の規則性と妊娠
上記では睡眠はホルモン分泌においてとても重要だということをお話しましたが、妊娠において大事なことがひとつあります。それは睡眠時間の規則性です。
このオールアバウトの記事でも紹介しましたが、出生率の高かった頃の日本は電気も少なく、日が暮れたら寝るという生活の中で睡眠する時間が規則正しかったのではないかと思っています。これはホルモン分泌が規則正しく行われるのに役立っており、妊娠するための身体の機能を維持しやすかったのかなと思いますし、排卵も定期的に行われていた可能性が高いと思われます。
今の生活は睡眠時間があまりにも不規則なのでホルモンの分泌も規則性が保てないのではないかと考えられます。それによって無月経や無排卵も増えているのではないでしょうか?
不妊と睡眠不足
最後に1つ。睡眠不足による疲労増大とホルモンの分泌の低下によって、SEX数の低下も考えられるのではないかと思っております。夜遊びは増えているけど肝心な事はあまりしていない。日本人のSEX数は世界一少ないというデータがそれを裏づけしています。SEX数が減って、排卵が減ってしまえば妊娠が減るのも無理はありません。なんとか睡眠の質を良くして妊娠する力を増したいものです。
関連リンク
SEX回数世界最低の日本人と不妊の関係
今回のまとめ
1) 睡眠には2つのタイプがあり、睡眠を形づくっている2) レム睡眠はED検査に使われることがある
3) ノンレム睡眠は妊娠に関連するホルモン分泌と密接な関係にある
4) ホルモンの分泌と現代の生活は反比例している、それが妊娠を妨げている原因かも?
5) 睡眠不足はSEX数への影響も考えられる
次回は睡眠障害をどのように解消して妊娠できる身体作りをするのか?ついて解説をしていきたいと思います。
参考サイト
睡眠に関する基礎知識
suimin-net