今回は質問のメールを解説するコーナーです。今回のテーマは甲状腺の病気は不妊症の原因なのか?もしそうならどのような治療をしていくのか?ということを説明してまいります。
甲状腺の病気
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甲状腺は喉の部分にある内分泌器官です。甲状腺の働きは食物中のヨードを材料にして甲状腺の中で甲状腺ホルモンを2種類合成し、血中に分泌することです。 | 女性の不妊原因で最も多いものの1つがホルモン異常を伴うものです。卵巣や脳下垂体のホルモンが起因する事が多いですが、それ以外には甲状腺に関連する疾患(バセドウ氏病)が多いと言われています。特に甲状腺疾患は圧倒的に女性の比率の高い疾患で女性は約4倍男性よりも発症率が高いと言われています。遺伝的な要素が強い疾患ですが最近ではストレス性のものが増えており、心理社会的要因との関連が深い代表的な疾患の一つとされています。その中でも甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)は最も多い疾患です。今回はこれにしぼって説明していきます。
甲状腺ホルモンの働きは下記の通りです。
■発育に関与
小児で甲状腺ホルモンが欠乏すると低身長、小児体形などの発育障害を示します。つまり発育や成長には欠かせないホルモンです。
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バセドウ氏病治療薬のひとつ。甲状腺ホルモンの合成をおさえて、その分泌を減らします。結果的に、甲状腺機能亢進症のいろいろな症状が改善されます。
| ■代謝促進に関与している。
代謝とは、簡単に言えば人体の中で行われている古いものと新しいものとが入れ代わることで、新陳代謝のことです。バセドウ病の場合、この新陳代謝が亢進するので多汗・食欲増進するが痩せる・頻脈などが現れます。
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺におけるホルモンの産生および分泌が亢進しているため、血液中の甲状腺ホルモンが上昇している状態を指します。バセドウ氏病は自己の甲状腺に対する抗体(抗TSH抗体)が甲状腺を刺激するために甲状腺が腫大し、ホルモンの産生、分泌が亢進する疾患とされています。
バセドウ病には病気自体の症状としても多彩な精神症状(イライラ感、神経過敏、情緒不安定など)が見られることがあるため、バセドウ病と気づかれずに精神疾患として治療されている場合もまれにあります。
甲状腺疾患と不妊の関係
甲状腺刺激ホルモン過剰の状態はどのような内分泌的影響があるかというと、まずカラダ全体のホルモンバランスが崩れます。それに伴い、規則正しい性関連ホルモンが異常をきたす事になります。よって月経不順や無月経になることも珍しくありません。それらの結果、妊娠しにくい状態になるということです。
そして上記にもありますとおり、ホルモンバランスが崩れる事により体調が悪くなり、精神的にも支障をきたす事があります。それが不妊の状態に悪影響を与えることにも結びつきます。
甲状腺疾患治療と不妊治療
甲状腺に異常があるような場合、まずはこの甲状腺の治療を行なっていく事により内分泌機能の正常化を図ることが第一選択になります。治療は薬物治療と外科的治療、そして放射線を使う治療法を行ないます。
バセドウ氏病の治療について
一般的な不妊治療は甲状腺の治療が終わり、カラダが正常化した状態でそれでも不妊の状態が改善されない場合、適用されるという事になります。不妊専門クリニックのドクターは内分泌専門医であることが多いので、ドクターに相談しながら治療を進めていくと良いかと思います。
関連サイト(ブログ)
ほわほわ
ジネコ(バセドウ氏病 掲示板)