不妊症/不妊治療の病院・クリニックの選び方

不自然に高い妊娠率!クリニック選びの注意(2ページ目)

不妊治療の情報を鵜呑みにしてはいけません。特に通院しようと決め手になる「妊娠率」については用心が必要です。その解説をしてまいります。

執筆者:池上 文尋

妊娠率をどのように判断するのか?

PCO
妊娠検査薬で陽性になったのを妊娠と判断すると妊娠率は上がります。
初期の妊娠判定にも2種類あるのをご存知ですか?下記の通りです。

1) 妊娠検査薬が反応した時点での妊娠
2) GS(胎嚢)が見えた時点

1)と2)の比較だけでも実は妊娠率が落ちます。ましてやきちんと生まれてくる率はぐんと下がります。それは途中で流産などのアクシデントがあるからです。

よって妊娠率だけを見ていてもその内容はよくわからないということです。ひょっとしたら妊娠判定薬で+に出ただけで妊娠とカウントしているケースもあるかもしれません。それでは意味ありませんよね。

だからWEBサイト等で見るときも不妊専門クリニックとしての役割を果たす妊娠2ヶ月ぐらいまでに到達した実数を出してくれているとわかりやすいと思います。もっと親切なクリニックならきちんとフォローして「実際に生まれた赤ちゃんの数」まできちんと公表してくれていればベストですね。

もしそのクリニックの妊娠率があまりにも高い場合、ドクターに「妊娠の定義」を質問してみるのも良いかもしれません。


統計のマジック

PCO
患者サイドでも情報を鵜呑みにするのではなく、その数字の根拠を詳しく聞く姿勢も大事だと思います。
妊娠率はデータ処理の仕方によって数字を高くすることが可能です。例えば、すべての患者さんを母数にすると妊娠率が下がるので、途中でいなくなった患者さんや治療をストップしているような方の症例は入れなかったり、年齢や症例に分けたり、その母数を減らすようなことをすると妊娠率は数字上、高くなります。でも、実数は変わりません。

でも何故、そのような手法を使ってまで高い妊娠率をWEBサイトなどの媒体に掲載するのかというと自院の技術力の高さを誇示したいということ、それに伴い、妊娠率でクリニックを選ぶ新規の患者さんにアピールするためだと考えられます。

しかし、日本産婦人科学会に出す数字は決められたデータすべてを報告する必要があるので、結局は毎年同じような妊娠率に落ち着くと言うわけです。


まとめ

今後、日本もアメリカのようにWEBサイトに掲載する情報もきちんと信憑性のある情報を審査される時代がやってくると考えられています。今、でたらめな数字を掲載しているクリニックはいずれ、そういう流れが来た時に痛いしっぺ返しがあると思われます。(実際、そういうヘルスケアWEBサイトの基準が日本にも導入されつつあります。)

また、高い妊娠率を売りにしているクリニックに通う患者さんが「全然妊娠しないのはおかしい」と思って、ネットで「私は全然妊娠しないのですけど、皆さんはいかがですか?」と問いかけたところ、私も私も~という人が続出して、そのクリニックの掲示板が炎上したというケースもあります。不条理な妊娠率は最後には明るみに出るのかなと思います。きちんと数字も事実を示して、それに対しての説明と患者さんへの責任を語れるクリニックが最終的に生き残れるのではないかと思っております。

皆さんも賢く情報を判断してくださいね。
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