Q)初診にはどれくらい時間をかけられていますか?A)とにかく最初はかなりの時間がかかることをご理解下さい。まずナースとじっくり話し合って頂きます。それが約1時間ぐらいでしょうか。そこで様々な問診をさせて頂きます。そして私の診察を行い、もう一度病歴を確認します。内診をしっかりと行い、その状況を患者さんにフィードバックします(内診から不妊症の原因と考えられる部位について説明します)。
その時に妊娠の仕組みや排卵の機序など基本的な事項について、しっかりとイラストを使いながら説明致します。内診で考えられた原因をさらに詳しく調べていくために検査を行い、検査の結果で治療方針を決めていきます。その時も納得して頂く為に説明には多くの時間をかけています。
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目を合わしたくない方や1人きりが良いという方向けの席も作っています。 |
Q)福岡県の不妊治療における県民性について教えてください。
A)福岡県は不妊治療の先駆者が多いということで患者さんの不妊治療に対しての意識が非常に高い地域です。皆さんもとてもよく勉強されています。だからある意味、不妊クリニック受診の敷居は低いですし、医療機関も患者さんの納得できる施設を準備しなければなりません。福岡県の患者さんにとっては、不妊治療レベルの高いクリニックへの受診選択肢が広いというメリットがあります。
Q)貴クリニックでの不妊原因で多い順に教えてください。
A)卵管因子が一番多いですね。次に排卵障害でしょうか。それから男性因子も増えていますね。余談ですが、卵管造影検査は外来でできる唯一の卵管通過障害に対する検査として位置づけています。当院の卵管造影検査後、患者さんの40%は外来治療(簡単な排卵誘発など)だけで妊娠されます。そして人工授精が約15~20%、そしてIVFやICSIといった高度生殖医療で妊娠される方が40%ぐらいです。開業5年経ったのですが、別のクリニックで治療されてから来られる方が半数以上に増えてきました。
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お化粧室の様子。こういう設備的な心配りは女性にうれしいですね。 |
Q)メンタルサポートについて教えてください。
A)男性と女性では、同じ説明を聞いても受け取り方や観点が異なっていると思います。よって出来る限り夫婦で来て頂き、夫婦に治療方針を話すようにしています。女性の場合、枝葉にこだわる人、一つに固執してしまう人がいます。その結果不安や迷いが生じても、パートナーのご主人がしっかりサポートをしてくれることになるからです。メンタルサポートの第1は、どちらに原因があっても、二人の治療として二人で治療に取り組むことと思います。
今の不妊治療ではインターネットなどの情報も多くなり、検査や治療の詳細について皆さんよく勉強されています。しかしながら、自分の体がどうなっていて妊娠しない状態になっているのか、説明を受けていない状況を良く見かけます。治療が手探りになる「原因不明」が患者さんに不安を与える要因ではないかと思います。しっかりと診察をして、原因をきちんと見つけ出し、その原因を説明し、患者さん自分自身が自分の治療を理解し、患者さん・医師・スタッフが共に治療に取り込むことが、第2のメンタルサポートと考えています
生真面目な患者さんの中には、仕事と治療の両立で悩む人が多いのですが、人間生きていれば人の迷惑になることもあるわけで、助けてもらうことも多々あります。慌てて「仕事をやめる」答えを出す前に、「仕事が少しできない場合があるかもしれない」と頭を下げて尋ねてみることも、ひとつの方法と話します。
私も子育てしながら大学の講師をしてきたので、患者さんと子供を第1に仕事の状況を考えると、同僚医師に迷惑をかけること多々ありました。「完璧なケースはない」ということを人生の先輩として相談にのるスタイルをとっています。
またこれも余談ですが、私が女性ということもあり、患者さん自身、子供がほしいかほしくないかがわかります。これは女の本音です。周りのプレッシャーに押されて治療にやってくる人もいます。クリニックに来ていてもポーズだけの人もいるんですよ(笑)。夫婦二人で決めたことならば、周りがなんと言おうと、子供を持たないという決断も間違いではありません。
詠田レディースクリニック訪問記(2)もご覧下さい。
関連サイト
IVF詠田クリニック
ガイドの全国不妊クリニック訪問記