子宮外妊娠ってなあに?
子宮外妊娠って? |
頻度は大体全妊娠数の約1~2%くらい、全分娩数の約2~3%とされています。
妊娠のしくみを理解しましょう!
受精~着床・妊娠のしくみを理解しましょう! |
まず(1)が卵巣です。ここからまず卵子が放出されます。卵子は通常卵管(2)の中で精子と合体します(この現象を「受精」といいます)。
受精した卵(受精卵)はどんどん細胞分裂を繰返して発育しながら、卵管内(2)を大体1週間で移動して赤ちゃんのベットである子宮体部(3)にたどり着きます。そして、子宮の内腔で着床し、植物の根のような突起をだして子宮内膜に侵入します。
ここで始めて受精卵はお母さんの身体から栄養を吸収できるようになります。これを「妊娠が成立した」と定義します。妊娠とは『受精卵がお母さんの身体の中で生命的な結合を要する状態=赤ちゃんのモトがお母さんから栄養をもらえる状態』のことなのです!
子宮外妊娠を理解しましょう
子宮外妊娠とは受精卵が本来の赤ちゃんのベットである子宮内膜以外に根をはってしまうことなのです。ですから、受精卵の移動の過程のどこにでもおこります。でもこう考えると卵管妊娠(上の図で2の部分)が一番多いのはなんとなくご理解できるのではないではないでしょうか。卵管妊娠は子宮外妊娠の約98%くらいを占めるので、子宮外妊娠といったらほぼコレになります。残りの2%の中に、卵巣妊娠(上の図の1)、子宮頚管妊娠(上の図の4~子宮の中ですが、この部分は本来のベットの役割は出来ないので子宮外妊娠として扱います)、腹腔妊娠(上の図の1と2の間からお腹の中に受精卵がこぼれてしまうのです)があります。
子宮外妊娠の原因・子宮外妊娠を起こす可能性のある人
お腹(下腹部)を手術したり、そこに炎症があったりしたことのある人は気をつけてください。たとえば卵管炎です。『卵管炎』とは『卵管が炎症を起こした状態』で、癒着をおこしたりしているので、うまく受精卵が子宮に運ばれないのです。ちなみに卵管炎をおこす原因としてはクラミジア・淋菌などによる性感染症が代表的です。
その他、原因として、骨盤内感染、虫垂炎、腹膜炎、頻回の人工妊娠中絶(子宮内掻爬)、子宮外妊娠の既往 、腹部手術の既往などがあります。骨盤内臓器の癒着を引き起こす子宮内膜症も一因になります。
妊娠初期では気づきにくい……初期症状がない子宮外妊娠
「子宮外妊娠」といっても「妊娠」に変わりはないので、自覚症状は通常の妊娠とあまり変わりません。胸が張ったり尿が近くなったり、つわりが出ることもありますが、生理が遅れている(無月経)くらいしか感じず、妊娠していることに本人が気づいていないこともあります。ただし、妊娠ですので妊娠検査薬などによる尿中妊娠反応は陽性になります。ところが、子宮体部内膜以外の場所はもともと赤ちゃんのための場所ではなく
、厚くなったり伸びたりしないので、いつまでも発育し続けることはできません。大体4ヶ月以内のうちに、どこかで限界に達します。
*ここからは子宮外妊娠のなかでも最も頻度の多い卵管妊娠についてのお話をします。
妊娠は妊娠ですが・・・ |
子宮外妊娠の兆候・症状
限界に達すると、その場所で流産する(=赤ちゃんのモトがお母さんの身体から離れて卵管の動きによってお腹の中〈上の図の1と2の間)にでてくる、「卵管流産tubal aboution」 )か、または卵管が破裂する(赤ちゃんのモトごと卵管(2)が破れてお腹のなかにでてくる「卵管破裂 tubal rupture」)ことになります。なかなか強烈です。ここで初めて不正性器出血(外出血)、下腹部痛という症状が出現します。特に卵管破裂の場合、かなりの出血を来すこともあり、ほっておけば死亡してしまうこともあります。また痛みも鈍痛から激烈なものまで程度によって様々です。怖いですね。
子宮外妊娠の検査・診断法
ところが、昔から子宮外妊娠は、急激に全身状態が悪化する前は診断が困難なことで有名でした。何の場合でも「あるはずの場所にいないことの証明」というのは非常に難しいのですね。ただ、最近ではエコーや、妊娠検査薬の精度の向上により、早期診断が可能になってきているようです。子宮外妊娠の治療法
簡単に言ってしまうと「手術するかしないか」ということと、「手術するにしても卵管を残すか残さないか」が、一番気になるところですよね。でももし全身状態が悪化していれば、これは緊急事態ですので、お腹をあけて手術(開腹手術)して、卵管を取って、出血したお腹の中をきれいにしないとなりません。ただ、子宮外妊娠が早期発見されて、状態が落ち着いているようであれば
- 待機療法 (1~2割の子宮外妊娠で自然に吸収され治癒することもあるよう)
- 薬物療法(大抵MTXという抗ガン剤を使う)
- 手術(方法として腹腔鏡を使ったりすることも増えてきています。また状態によっては卵管を残すこともあります)
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