人知れず悩むことが多い尿失禁。身近な人のSOSに気づいてあげて! |
なんと、40~50才代の女性では2人に1人が経験しているといわれている「尿失禁」。年齢とともに多くなることが知られています。くしゃみや咳で思わず漏らしてしまう、といったケースばかりではありません。突然トイレに行きたくなり、どうしても間に合わなくなってしまったり、トイレではない場所をトイレだと思い込んでしまったり――とシチュエーションはさまざまなよう。まずはどんなタイプがあるのか、見てみることにしましょう。
女性に多い 腹圧性尿失禁
なんと現在、2000万人以上の女性が悩まされているとか。お腹に圧力が加わったことで起こります。クシャミや咳をしたとき、大笑いしたとき、重いものを持ち上げたときなどに漏れる人は、このタイプの可能性大。おもな原因は加齢による老化現象。女性はもともと尿道が短いうえ、尿道を締める前立腺がないので、漏れやすいのはしかたがありませんが、年をとると、前立腺のかわりに尿道を緊張させる筋肉が緩んでしまい、ますます失禁を起こしがちに。また、便秘や冷えによってこうした現象が起こることもあります。このほか、膣が炎症を起こすことで、膀胱や尿道が圧迫され、尿失禁が起こりやすくなることがわかっています。
男性がかかりやすい 溢流性尿失禁
尿を出しきれず、漏れてくるのが溢流性尿失禁。男性に多く見られます。考えられる要因は前立腺肥大症。尿道近くの前立腺組織が肥大し、尿道を圧迫するために起こります。早い人では40~50代で起こり、なんと60歳を過ぎると、半数以上の人に見られるそう。このほか前立腺がん、尿道狭窄、糖尿病によって起こることもあります。脳や脊髄に異常? 切迫性尿失禁
突然トイレに行きたくなり、ダッシュで駆け込むものの間に合わない――こんな人が該当するのが切迫性尿失禁。トイレ回数が多くなるのも、この病気の特徴です。原因のひとつは、脳梗塞・脳出血・パーキンソン病などの脳の病気、または脊髄損傷・脊髄梗塞など脊髄の損傷など。脳や脊髄などの神経回路がダメージを受けることで、膀胱が脳の命令を聞かなくなってしまうのです。
このほか、膀胱や尿道結石、膀胱炎、膀胱がんがもととなる知覚神経過敏があります。ただし、あくまで一時的な症状ですので、この場合はさほど心配はいらないといえます。
認知症の可能性あり 機能性尿失禁
家族が集まる食卓や居間などで失禁! こんな事態に直面したら機能性尿失禁を疑いましょう。おおもとにあるのは認知症。排泄のTPOがわからなくなってしまい、突然行為に及んでしまうのです。排尿ばかりか排便をしてしまうこともあるので要注意。本人に排泄の意識がないケースも見られ、いつのまにか衣服が汚れている…という場合も。
もしも切迫性尿失禁や溢流性尿失禁の場合は、背後に深刻な病気が隠れている可能性も! 早急に専門医を受診する必要があります。
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