全国で猛威をふるう「ノロウイルス」。健康な大人が感染した場合は、2~3日で回復しますが、体力の弱ったお年寄りの場合、死に至ることもあります。広島県福山市の特別養護老人ホームで7人の死亡者が出たのを皮切りに、12人の死者が発生。すでに5370人以上が感染者しています。「自分の地域はまだ大丈夫」なんてタカをくくれない状況になってきました。
施設介護をしている方はもちろんですが、在宅でご両親をケアしている方もなにかとご心配なことと思います。そこで今回は、ノロウイルスについて徹底解説。原因やケア法、予防法などをご紹介します!
ノロウイルスの正体とは?
最近のニュースで初めてノロウイルスという病原体の存在を知った――そんな人も少なくないのではないでしょうか。なんでも、このウイルス、最近になって名づけられたのだとか。じつは2003年8月まで、「小型球形ウイルス(SRSV)」と呼ばれていたそうです。ところが検査技術が進んだことにより、この小型球形ウイルスに2つのタイプがあることが判明。その1つが、つまりノロウイルスというわけ。
おかげで、それまで風邪とされたり、ただの感染症胃腸炎として扱われていたケースがノロウイルス感染とわかり、以来、にわかに患者数が増加してしまいました。一昨年はなんと1万人超を記録したといいます。
そうはいっても、侮れないのが今年のノロウイルス。これまで、死亡報告例は、せいぜい年に1件程度。2003年はゼロでした。それなのに、どういうわけか今年に限って死者が続出しているのです。
症状と感染経路
まずは、具体的な症状について知っておきましょう。主症状は、下痢や嘔吐、発熱など。体力のある人ならせいぜい2日程度で回復に向かいますが、高齢者や幼児などでは、重篤な状態に陥ることもあります。
原因はカキやアサリなどの二枚貝。もちろん、十分に加熱したものは心配ありませんが、生のものから感染することがあります。感染経路としては経口感染が主ですが、患者の糞便、嘔吐物から伝染することも多いそう。
今年の大流行は、「食中毒」によるものではなく、あきらかに「感染性」のものと思って間違いないといえるでしょう。当然ながら、家族が外から病原菌を持ち帰る可能性も高く、在宅介護の場合はとくに注意が必要です。
予防は可能!
それでは、在宅介護の場合、どのようにすればお年寄りへの感染を防げるのでしょうか?予防法として挙げられる工夫は下記の通りです。
・介助の際は、使い捨て手袋を着用する ・介助の前にも必ず手洗い・消毒を ・料理前やトイレの後には手をよく洗って ・お風呂に入れるときは、事前に風呂桶をよく洗う ・手すりなどを家族が触ったときは塩素系消毒剤で消毒を ・家族が感染した場合はなるべく隔離するようにし、洗濯物も別にして、よく消毒をおこなう ・家族とお年寄りのタオルを共有しない。 |
もしも感染したときは
万が一、感染してしまった場合は、次のように対処するのがおすすめです。
・おや、と思ったらすぐ病院へ ・吐き気が強いときは飲食を避ける。水も控える。 ・吐き気が落ち着いてきたら水分を与えて。ただし、少量ずつを心がけるべし。 ・吐き気がおさまったら、少しずつ食べ物を。ただし、消化のよいものを、便の様子を見なが与えるようにする。 ・排尿回数が少ないときは早めに主治医に連絡を。顔色が悪い場合、唇が乾いているときも、念のため受診したほうがよい。また、嘔吐が続くときも同様。 |
さて、いかがでしたか。感染力の強いウイルスだけに、予防はきめ細かくおこなったほうがよさそう。必要以上に神経質になることはありませんが、油断は絶対に禁物です。寒い冬をお年寄りが元気で乗り切れるよう、家族全員で応援するようにしましょう。
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