耳・鼻・喉の病気/鼻水・鼻づまり

鼻水が止まらない…スッキリ止める方法は?

風邪や花粉症にかかると止まらなくなる鼻水。何回鼻をかんでもスッキリせず、困る人も多いと思います。鼻水はいったいどこから来るのでしょう? 鼻水を止める方法は? 効果的な鼻水の止め方、薬の副作用についてもご紹介します。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

風邪や花粉症にかかると止まらなくなる鼻水。何回鼻をかんでもスッキリせず、困っている人も多いと思います。鼻水はいったいどこから来るのでしょう? 鼻水を止める薬の副作用についても、詳しくご紹介します。

鼻水はどこから来て、どこへ行くのか…。

鼻水はどこから来て、どこへ行くのか…。


まずは鼻水を作る3つの器官について確認しましょう。

体調が良いときの鼻水は「涙」

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涙から見ると鼻は下水道になるんですね
鼻水の元の一つは涙。資源の再利用が叫ばれていますが、体が行っている水分の再利用の一つが、目を潤した涙を鼻腔に流すことです。目の表面が乾かないように瞬きする度に、涙腺から少量の涙が鼻腔に流れ、鼻腔の内側を乾燥から守るのです。

もちろん、通常の涙の再利用では鼻水にはなりません。鼻をすするほどの量になるのは、感激したときなど、涙腺からの涙が極端に増加してしまった時に起こります。

分泌物の貯蔵庫? 顔の奥に広がる鼻腔

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表面からは見えませんが、目の下には鼻腔が広がっています
鼻(鼻腔)の入り口は指がやっと入るくらいの大きさですね。一般的に鼻として認識する部分はそんなに大きくありません。それなのに鼻水がキリなく出てくるのはなぜでしょう?

実は鼻腔の奥は、上顎から目の下の空間へと広がっています。横から見ると結構広い空間です。上記の涙だけでなく、この空間では粘膜から分泌物が作られ、鼻水の成分を作っています。体調に異常があり分泌物が増加すると、鼻の穴からあふれて鼻水になります。

通常、この分泌物は呼気に湿気を与えて鼻腔から咽頭、喉頭、気管の乾燥を防止するのに役立っています。鼻腔の上の部分は臭いを感じる細胞があって脳神経の臭神経につながっています。鼻腔の後の方には以前の耳管解放症の記事で取り上げた中耳とつながっている耳管があります。

鼻腔の外側に広がる、複雑な副鼻腔

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目の回りと鼻腔の回りには、複雑な構造の副鼻腔があります
鼻は一見シンプルな作りに見えますが、鼻腔を取り囲んでいる「副鼻腔」は複雑な構造の空間です。

鼻腔とつながっているので、この副鼻腔の分泌物も鼻水の元となります。副鼻腔は誕生した時は未完成でX線写真ではっきり写りませんが、子供の成長とともにX線写真で確認できるようになります。以前の記事で取り上げた副鼻腔炎では、鼻水よりも鼻づまりや咳、頭痛のような他の症状も伴います。

つまり鼻水は、涙腺・鼻腔・副鼻腔の3箇所の分泌物がそれぞれ混じりあって作られるものなのです。

鼻水はどこから湧いてくる? 鼻水は簡単には止まりません!

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3つを止めないと鼻水は止まりません!
鼻水は、涙腺・鼻腔・副鼻腔からの分泌物が合わさった物です。涙腺、鼻腔、副鼻腔での全ての原因が、それぞれ取り除かれないと鼻水は止まらない事になります。

感動した時に涙腺からあふれた涙はティッシュやタオルで吸い取る事によって減らすことが可能です。同じく、鼻腔で増加した分も、鼻をかむ事によって一時的に減らすことが可能です。

一方、身体の不調が原因で副鼻腔からあふれてくる鼻水は、涙腺からの涙のようには出し切れません。副鼻腔が複雑な上に、鼻腔の空間も大きいので、ここから出続ける分泌物はスッキリとは止まりません。何回鼻をかんでも全部出し切ることは不可能なのです。

唯一の救世主!? 鼻水を止める薬・抗ヒスタミン剤

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鼻風邪ウイルスが原因ならば数日で鼻水は治ります
花粉症の場合、残念ながら原因となる花粉の時期が終わるまで鼻水は止まりません。一方、いわゆる鼻風邪ウイルス(例:ライノウイルス)が原因の場合は、数日間で治まります。どうしても止める必要があるなら、薬に頼るしかありません。

式典など人前で鼻をかめない場合、最終的に鼻水を止めるために、免疫反応を一部止めるという方法があります。鼻水を増加させている炎症に関係した物質のヒスタミン作用を止めるのが一番手っ取り早い方法です。

ちょっと専門的になりますが、ヒスタミン作用を受けるのは、以下の3つの受容体です。

  • H1受容体 : 鼻や目の痒み、鼻水や涙に関係する受容体
  • H2受容体 : 粘液の分泌、特に胃液の分泌に関係する受容体
  • H3受容体 : 中枢神経の興奮・覚醒に関係する受容体

鼻水や涙を止めるには、H1受容体に対する抗ヒスタミン剤が有効ということになります。市販の風邪薬に入っている抗ヒスタミン剤には鼻水を止める作用があります。

眠気は避けられない? 鼻水を止める薬の副作用

一方、抗ヒスタミン剤は頭を覚醒させるH3受容体の作用を妨害してしまうので、副作用として眠気がおこります。車を運転する場合は居眠り運転の原因となって危険です。鼻水はガマンして、薬の服用は控えるようにしましょう。
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