歯石除去後に歯がしみる原因は?
本人が思っているより、歯周病は進行していることも多い
歯石取り後にしみる場合、歯石を取る前の時点で以下のいずれかに該当することが多いです。
■定期的診を受けたことがない
定期的な歯石取りなどをあまり行っていない場合、歯石が比較的多めについていることがある。
■歯茎が下がり気味
比較的多く見られるのは、歯周病の進行が初期ではなく、症状がなくても実際は中~重度の歯周病のケース。歯茎が下がり気味で、歯の根の部分が露出している部分がある。
■知覚過敏がある
ときどき水がしみる。ほとんど気にならないこともある。
■ブラッシング不良気味
どちらかというとブラッシングはあまり熱心でない。歯と歯茎の境目に歯垢が付着気味。
■歯茎の出血が時々起こる
ブラッシングをしっかり行うと歯茎の出血が起こるため、加減して弱めにしたりあまり磨いていないことも多い。歯石を取る際に出血するため驚くこともある。
■虫歯はあまり関係ない
虫歯がたくさんあると、歯石がたくさん付着する前に、病院で歯周病が発見されるため、小さな虫歯がある程度ということが多い。
歯科医は、患者さん側に自覚症状がほとんどない場合でも、歯周病を発見した際には、原因である歯石を取り除き、歯周病の進行を食い止めようと考えます。しかしすでに歯石が刺激に敏感な根の表面を保護膜のように覆っている状態のため、歯石を取った後で敏感な歯の根の部分が露出し、急にしみるようになるのです。
このようなケースでは本人が歯周病を自覚していない場合も多く、歯石を取ることがトラウマになったり、術者に不信感を抱いてしまうこともあります。
歯石除去後に歯がしみる痛みから起きる悪循環
歯石を取った後でひどく歯がしみるようになった経験があると、歯石を取りたくないという気持ちが強くなります。そのため次のような経過になることもあります。
1. 歯磨きがおろそかになる
歯石を取り除いた後、しみるために歯磨きがおろそかになる。歯石除去後の綺麗な面が、短期間でプラークに汚染され、再び歯石になることもあります。
2. 歯磨きしない方がしみなくなる
歯磨きが以前の状態と同じようになると、だんだん歯石が付着してきて、元の状態に戻っていきます。そのため水がしみなくなってきます。
3. しばらく調子が良くなる
ブラッシング時に歯茎からの出血があったり、少ししみても、歯石を取った直後のような強い痛みではないため、調子が良いと感じるようになります。
4. 急に歯がしみるようになる
次第に歯周病が進行し、ブラッシング時の出血や歯のぐらつき、水がしみるなどが感じられるようになっていきます。
歯周病の治療で歯石をとることは、必須です。これを怠ると一時的に回復したかに見えても、次第に悪化していきます。初期の歯周病では、歯石を取ったからといって、強くしみるようになることはあまりありません。
歯石を取った際に出血が多かったり、急に強くしみるような場合は、本人はそれほど自覚していなくても、すでに歯周病がある程度進行している場合があります。
歯石除去後の知覚過敏の治し方・緩和法
歯磨きはしっかり行うことが基本!
歯石取り後の知覚過敏を解消するために参考となるのは次のようなことです。
■歯磨きは確実に行う
歯石除去後に歯がしみていても、歯の周囲のプラークを残してはいけません。柔らかめの歯ブラシやぬるま湯などを利用して、きちんと歯磨きを行います。
■薬用歯磨き粉などを利用する
知覚過敏防止剤やフッ素配合などの特長を持つ歯磨き粉などを積極的に利用するのもひとつの方法です。
■経過観察
歯周病の進行度や、敏感さの度合いにより異なりますが、歯石取り後の知覚過敏が落ち着くのに、数日から長いときは数カ月の時間が必要なことがあります。
■歯の根元に薬や詰め物を貼り付ける
歯の根の部分の敏感な部分に薬を塗ったり、樹脂の詰め物を埋めて、刺激を遮断できることもあります。
■神経を取る
歯がしみるのが我慢できない場合など、最終手段として残されている方法は、歯の神経を取ることです。
歯石取り後の知覚過敏を短期間で落ち着かせる特効薬はありません。根気よく歯磨きを行い歯周病を安定させ、しみなくなってくることを待つことが大切です。
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