文章:西川 敦子(All About「介護」旧ガイド)
「痴呆は遺伝する?」「痴呆は治らない?」など痴呆について、いろいろな誤解を抱いてはいませんか?正しい知識を持てば、痴呆なんて怖くない。ネガティブな思い込みは捨て、あきらめずに痴呆とつきあいましょう!
今回は、誤解されやすい痴呆のウソ・ホントに迫ります!
痴呆は遺伝する?
→遺伝するケースはきわめて稀!「親がボケたから、自分も痴呆になるのでは・・・」。痴呆のご両親を介護している人は、とくにそんな不安を抱えているのでは。元気な頃からは想像もできない様子を目の当たりにしたりすると、余計、気持ちが暗くなってしまうこともあるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。痴呆が遺伝するのは、アルツハイマー病の場合のみ。日本全体では遺伝性のアルツハイマー病はまだ100家系ほどしか報告されておらず、きわめて稀なケースといえます。
●こんな誤解をしていませんか
<実例>:親が痴呆症・・・最近忘れやすい私。遺伝で私もボケてきた?
80歳を過ぎた頃から、痴呆症状が現れるようになってきた父親。病院で診察してもらったわけではないのですが、家族は「アルツハイマー病だ」となんとなく思い込んでいます。近頃、自分も物忘れが多くなってきたので、遺伝でボケてきたのかと心配です・・・
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遺伝による発病が認められている痴呆は、脳に特有の所見があらわれる「アルツハイマー病」だけ。さらに、この病気は40~50代に発症することが多いといわれています。年をとってじょじょに見られるようになる「アルツハイマー型痴呆症」の場合は、脳の自然な老化現象が原因との見方もあり、遺伝の可能性はとくに認められていません。お父さんの痴呆はアルツハイマー病ではなく、どうやら後者の可能性がありそう。一度、病院できちんと診てもらいましょう。
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