【女性に自己免疫疾患が多い理由】
体の中で免疫を担当する細胞について、考えて見ましょう。他の細胞と同様に女性の免疫担当細胞は、男性の2倍の多様性を理論的に持つことが出来ます。単純に考えて、病原微生物に対しては、2倍対抗出来ることになります。
一方、統計的に、女性に慢性甲状腺炎や慢性関節リウマチのような自己免疫疾患が多いのは明らかです。
免疫担当細胞vs病原微生物ではなくて、免疫担当細胞vsその他の細胞について考えてみると、女性ではX染色体から見て、2x2=4の組み合わせが、出来ます。
母親由来のX染色体を使っている免疫担当細胞vs
母親由来のX染色体を使っている他の細胞
父親由来のX染色体を使っている免疫担当細胞vs
父親由来のX染色体を使っている他の細胞
この2つは組み合わせは、同じX染色体を使っている細胞同士の組み合わせなので、問題は起きません。
母親由来のX染色体を使っている免疫担当細胞vs
父親由来のX染色体を使っている他の細胞
父親由来のX染色体を使っている免疫担当細胞vs
母親由来のX染色体を使っている他の細胞
例えば母親由来のX染色体を使っている免疫担当細胞は、父親由来のX染色体を使っている他の細胞を、自分の細胞ではない(非自己細胞)と認識する事が稀に起きます。逆の組合せでも同様な事が起きます。
免疫担当細胞が他の細胞を非自己と認識すると免疫反応が起きます。感染症と違ってこの炎症は慢性化します。この慢性炎症はいわゆる自己免疫疾患や膠原病の一因となります。
多様性は進化そのものですが、長寿だけではなく、自己免疫疾患をもたらすのは、皮肉な自然のいたずらですね。
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