そもそも「時間医学」って何?
「時間医学」は医学用語の中でもあまり知られていない言葉です。「時間生物学」と呼ばれる分野の考えを取り入れた医学と考えて下さい。「時間生物学」とは、生物の日内変動や季節変動を研究する学問です。「時間医学」は、時間生物学を医学に応用する分野です。例として、血圧の変動と高血圧治療が良く出されます。早朝高血圧とか夜間高血圧という用語も、時間医学的医学用語です。
ダイエットにも時間医学的考えは有効です。フィットネスも時間医学的な考えを持っておくことが大切です。具体的には、食事時間と運動開始時間、運動強度・運動時間により、ダイエット効果が変わる可能性があるのです。
食後の運動で、食べた分はナシにできる?
インターセプト(妨害)がしっかりできるかで勝負が決まります |
しかしダイエットについて少し勉強した人なら、食べた後に増える血中の脂肪のほとんどが「中性脂肪」だと知っています。実は筋肉が使えるのは中性脂肪ではなく、中性脂肪の成分の脂肪酸と呼ばれるもの。だから、たくさんの中性脂肪が脂肪細胞にくっつく前に妨害するのは無理なはず……。そう思うはずです。
本当に中性脂肪は体についてしまう前に、うまく処理できないのでしょうか? その方法があるのです。
食後に中性脂肪を分解せよ!
ここだけ少し専門的なお話ですが……。知っておけば運動をする気も高まるでしょうから、ぜひ知っておいてください。中性脂肪を分解する酵素を「リパーゼ」と呼びます。この酵素をたくさん持っているのが、脂肪細胞。通常ダイエットするときは、脂肪細胞が持つこの酵素を活性化させて、脂肪細胞が蓄えた中性脂肪を分解してから筋肉が血中の脂肪酸を取り込んで燃焼させるのです。溜まった脂肪を分解するには、この方法は有効です。
また、筋肉内にもリパーゼがあります。この酵素の活性はホルモンに依存性があります。交感神経系からアドレナリンが分泌されると、筋肉のリパーゼの活性が上昇するのです。
血液は食後には小腸が作った中性脂肪を含む粒子(カイロミクロン)で一時的に豚骨ラーメン状態。筋肉はアドレナリンが高い時には筋肉組織内の毛細血管でカイロミクロンの中性脂肪を分解して、筋肉内に脂肪酸を取り込むことが可能となります。最近までは、この理論は机上の空論と思われていましたが、画像診断の進歩でこのことが正しいと証明されました(参考:陽子核磁気共鳴分光法)。
なお消化液(膵液)中のリパーゼは食物中の中性脂肪を分解します。この酵素の働きが悪いと脂肪の吸収不良が起きます。
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