食と健康/旬・季節の食事の食べ方・レシピ

小豆がお正月太りやむくみ解消をサポート

古くから1月15日の小正月には、厄払いとして小豆粥を食べる習慣があります。厄払いだけでなく、小豆は、お正月太りやむくみ、便秘などの解消に役立つ、有り難い食べ物なのです。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

1月15日の小正月には小豆粥を食べたり、神様に供える習慣があります。小豆は、お赤飯同様に祝いの日のめでたい食べ物、また厄払いの食べ物とされてきました。

お正月のごちそうやお酒の飲み過ぎで、むくんだり便秘した時等に、小豆は役に立つ食べ物で、松の内が明ける頃に食べるのはちょうど体のためにりにかなっていると言えそうです。

小豆は厄払いの食べ物

小豆
小豆の赤い色が、厄払いになると考えられていました。画像提供/Eyes Pic
古くから中国や朝鮮などの東アジアでは、赤米を炊いた赤飯同様に、小豆も、その赤い色に呪力があるとされ、おめでたい日や厄払いの食べ物とされてきました。

日本に小豆がいつ伝えられたかははっきりとはわかりませんが、弥生時代の遺跡からも発掘され、すでに「古事記」や「日本書紀」の穀物起源の神話に出てくるので、3世紀頃までには大陸から伝わっていたと考えられています。

小正月(1月15日)に小豆粥を食べる風習は、平安時代から続いているものとされ「延喜式」には、宇多天皇に小豆を含め、コメ、アワ、ヒエなど7種類の穀物を入れた七種粥が捧げられたとあります。
 
こうした習慣が江戸時代には庶民にも広がり、小正月だけでなく、月始めの1日や15日、季節の区切り、また引っ越しなどの生活の節目や、災厄除けとして食べられていました。

お正月のごちそう続きはむくみやすい

お正月休みや、松の内の間は新年会も続き、太ったり便秘がちになったり、またむくんだりしている方が多いのではないでしょうか。

むくみとは、水分や老廃物が上手く体外に排出されずに、皮下組織に過剰にたまった状態です。

おせち料理は保存のために塩分が多く使われたり、濃い味になりがちですが、このために体内のナトリウム濃度が高くなり、体はバランスをとろうと水分を多くとりこもうとして、むくみの原因となります。

また濃い味は喉が渇いて、ビールなどのアルコールを飲み過ぎると利尿作用があるため、体は水分をためようとします。また冷たい飲み物を飲み過ぎても体か冷えて、水分の代謝が悪くなります。

さらにお正月の間は、どうしても座ったままごちそうを食べたりして運動不足になりがち。動かずにいると、リンパ管の流れが滞り老廃物が排泄されにくくなりむくみの原因となります。

お正月気分の松の内があけた頃に小豆粥を食べる習慣は、こうしたむくみや便秘を解消するためにも、理にかなった習慣です。

漢方では、小豆はむくみと解毒の薬

小豆
小豆は古くからむくみ解消によく
効くと言われています。画像提供/Eyes Pic
小豆の薬効は古くから知られ、「和歌食物本草」では「赤小豆こそ甘酸よく平毒なし 水を下して熱を冷ますなり」などと記載され、小豆の煎じ汁や小豆粥は昔から解毒やむくみに効く薬として利用されていました。他にも、京都の伝統的な食習慣では、10日に一度小豆を食べて水毒を出すと、聞きます。

では、小豆がむくみや便秘などを解消する働きは、どのような成分によるのでしょうか。それは、サポニンとカリウムによるものと考えられています。カリウムは、血液中のナトリウムとバランスをとって、余分な塩分を尿として排出するようにコントロールします。また「サポニン」には水分の代謝を高めて、水分バランスを調節する働きがあります。

私は、以前小豆のお茶をいただいたことがありますが、ほのかに甘く香りよくおいしいお茶で、利尿作用も感じられました。

便秘解消、代謝を促す成分

いつもよりたくさんのごちそうを食べたり、運動不足になると、便秘もしやすくなります。便秘が続くと、老廃物もたまり、むくんだり、おなかがはったり、太りやすくもなります。

小豆は便秘解消にも役立つ成分を含んでいます。ゆでた小豆は、100g中11.8gの食物繊維を含んでいますが、不溶性食物繊維が11gと多く含まれています。不溶性食物繊維は腸の中で水分をキープして便を柔らかくし、便が出やすくします。またサポニンも緩下作用があり、便秘解消にも役立つ成分です。

さらに小豆には、ビタミンB1、B2が多く含まれます。ビタミンB群は、糖質や脂肪を分解し、エネルギーに換えるのに必要な栄養素で、代謝を高める働きがあります。
 
サポニンは、油脂を溶かす作用があるので、血中脂肪やコレステロールを排出し肥満抑制の効果があると言われるなど、お正月太りを解消するためにも小豆には役立つ成分が含まれているのです。

小豆を利用する時のポイント

小豆は乾物を利用するのがほとんどで年中販売されていますから、旬は関係ないのかと思っていましたが、そうでもないようです。小豆は、収穫した9~11月を旬とする見方もありますが、収穫後の年内は豆は煮えむらになりやすく、年明けの正月頃からが旬と言えるのだとそうです。

小豆を選ぶ時は、色艶がよく、ふっくらとしたもの、また油の臭いがしないものを選びましょう。中には艶よくするために、食用油を塗ったものがあるそうです。

小豆の有効成分を生かすには、あまりなんども茹でこぼしたりして、渋みのもととなるアクをとりすぎないことです。またサポニンや食物繊維が健康によいからと言っても、くれぐれもむやみに食べずきることは避けましょう。小豆は、サポニンや食物繊維だけでできているのではなく、様々な栄養素、成分からなりたっている食べ物です。適量をおいしくいただくことが基本です。


■注意
むくみは、女性の生理前や、冷え、塩分・水分のとりずきによる一過性の場合だけでなく、心臓や腎臓、肝臓の疾患でも見られます。むくみが長引き体調も優れないときは、病院で診断してもらいましょう。

■参考/
  • 『和歌食物本草』現代語訳版 江戸時代に学ぶ食養生(源草社)
  • 雑穀を食べよう(評言社)
  • 祝いの食文化(東京美術選書)
  • 食べ物、旬とタブー365日(講談社アルファ文庫)

■関連リンク
縁起物の干し柿で、お正月のトラブル解消(食と健康)
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