春菊の旬は2回
シュンギクは、キク科キク属の植物。花を見ると、菊やマーガレットと区別がつきません。原産地は地中海沿岸で、日本へは1500年頃、中国経由で伝えられたと言われています。独特の香りが嫌われるのか、食用としているのは日本と中国のみで、ヨーロッパでは観葉植物として楽しまれているそうです。春菊の品種には、葉に切れ込みの少ない大葉、切れ込みのある中葉があり、中葉はさらに、株立ち型と株張り型とにわかれています。関西では菊菜とも呼ばれています。
春菊には旬の時期が2回あり、9~11月頃にも市場に出ていますが、β-カロテンやビタミンCが多く含まれているのは年末から3月までの寒い時期ですから(鉄分やカルシウムは、夏場に多い場合もある)、たっぷりいただきたいものですね。
選び方と保存の仕方
JA福岡によると、九州大学生物環境センターが行った、シュンギクの流通過程中における品質変動調査(2006年7月)では、ポリフェノール、β-カロテンなどが、出荷して小売店に到着後も含有率が高いそうです。葉の緑が濃く、つやがありみずみずしいものを選びましょう。いたみやすいので、葉がしおれていたり、黄ばんだり黒ずんでいるものは避けます。香りが強ければ強いほど新鮮と思ってよいでしょう。
保存する場合は、水で湿らせたキッチンペーパーなどで根元をおおい乾燥させないようにポリ袋に入れたり、ぬらした新聞紙などでくるみ、冷蔵庫の野菜室に立てておきましょう。
調理と色止めはすばやく
おひたしや和え物にする場合、水溶性ビタミンなどの損失をできるだけ抑えるために、さっと短時間で茹でます。またその後色止めに冷水にとりますが、あまり長い時間放っておくと、水溶性ビタミンが失われますので、さっとひきあげましょう。意外にアクが少なく、生食向き
シュンギクは香りが強いのでアクも強そうに思われがちですが、えぐみを感じたり、カルシウムと結合して結石を作り出す原因となる成分シュウ酸含有量がホウレンソウの4%ほどしかなく、生食しやすいでしょう。また漢方では、食べ物を、カラダを温める、カラダを冷やすという、食べ物の性質を考えて利用します。ホウレンソウはカラダを冷やす質がありますが、シュンギクは「平」と言って、どちらにも偏っていません。生食してもカラダを冷やさないのは、寒い時期にはよいことですね。生食なら、ビタミンCなどの損失も少なくなります。
ただ子どもさんなど、香りが気になる場合は、まずはかき揚げにしたり、ドレッシングをかけたりすると食べやすく、だんだん慣らしていくとよいでしょう。うちでは、オイルを熱々にしたホットドレッシングをかけてサラダにしてもいただきます。ゴマ和えや白和え、ドレッシングなど、油ものと一緒に摂ると、カロテンの吸収が良くなります。
また最近は香りの少ないスティックシュンギクが出回っています。食感がよく甘味も強くて食べやすいので、シュンギクの苦手な方が食べ始めるにはよいかもしれませんが、香りの成分は少ないと言えるでしょう。
春まで後少し、旬のシュンギクをお鍋の脇役というだけでなく、いろいろな食べ方で楽しんでみてください。
参考/
■春菊(JA福岡市)
■シュンギクの抗酸化性を示す新規キナ酸誘導体の解析(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所)
■食材健康大事典(時事通信社)
■キッチン食べ物事典(高橋書店)
■野菜のビタミンとミネラル(女子栄養大学出版)
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