通訳・翻訳/通訳・翻訳の仕事

現場が求める翻訳者像7か条

良い翻訳者とはどんな翻訳者でしょうか?現役翻訳コーディネーターに、現場で求められる翻訳者像をおききしました。

執筆者:柏木 梨花


1st-trans運営会社三裕通商株式会社海外事業部加藤さん

前回お話を伺った現役翻訳コーディネーター加藤さんに、翻訳コーディネーターから見た良い翻訳者像をお聞きしました。

関連記事:翻訳コーディネーターの仕事


翻訳の現場で求められる翻訳者像


加藤さん:
1.外国語に関してではなく、その他で幅広い知識をもたれている方
2.わからないことをご自身で調査、調べる能力の高い方
3.翻訳文章を機械的に翻訳するのではなく、全体的に内容を把握できる方
4.感性が豊かで想像力のある方
5.外国語力以上に国語力の高い方
6.正直で約束を守れる方
7.察しと思いやりの気持ちをもたれている方

以上の項目にひとつでも該当する方は、良い翻訳者と認識させていただいております。

ガイド:全てではなくて、ひとつでいいのですか?

加藤さん:はい。多いに越したことはないですけど、ひとつでも該当すれば大丈夫です。
反対に、次の項目にひとつでも該当する翻訳者の方は高く評価することができません。


翻訳者の評価を下げる要素とは?


1.職歴や社会人としての実績ではなく、学歴をアピール、又はそれに執着する方
2.無粋な方
3.責任感のない方

やはり、社会経験のある方が望ましいですね。
と言いますのは、社会経験のある方は組織をわかっています。つまり、翻訳の依頼主にとってその翻訳はどういう位置づけなのか、「自分はこの翻訳で何をすればいいか」といったご自身の役割を言われなくても理解されます。
更にカンのいい方ですと、その文章がどこで使われるのか、そしてどこで問題が起きそうか、がわかります。
そうすると事前の調整もスムーズですし、お客様のニーズにあった物に仕上げることができます。

語学力が欠けている場合は、調べる時間を多めにとることでカバーできますが、この感覚は勉強して身につくものではなく、やはり働いたご経験から培われるものです。

学問だけでなく、実務経験を求めるのはこういった理由からです。
そういった意味で、学歴に固執して勉強してきたことだけをアピールされる方は難しいですね。

ただし、未経験者はチャンスがないというわけではありません。
未経験の方をフォローしながら、少々僭越な言い方ですが、翻訳者として育てていくというのも私共の仕事だと思っています。
最初の時点で、経験がないと正直に言っていただければ、無理のない範囲でのお仕事からスタートし、フォロー体制を整えることもできます。
そういった意味でも、勉強してきたことをアピールされるだけでなく、経験はないけれど、こういう勉強はした、こういう分野に興味がある、と正直にお話をしていただきたいですね。

ガイド:2番目の「無粋」というのはどういうことでしょうか?

加藤さん:状況把握のできない人、場の空気が読めない人とでも言いますか・・・
翻訳に限らず、他の職種でも求められることだと思います。

ガイド:3番目の責任感。納期を守る、最後まで責任をもって携る。これは当然ですね。

加藤さん:極端なことを言えば、語学力が高ければいいというわけではないのです。勿論高ければ高いに越したことはないのですが、一番重要な条件ではありません。責任感があり、プロとしてきちんと仕事ができる人。そこが欠けていると難しいですね。

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