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残業代、ちゃんともらってますか? 労働時間に関するQ&A(前編)(6ページ目)

労働時間や残業に関するQ&Aを集めました。基礎知識編と合わせてご活用ください。

執筆者:西村 吉郎

さらに、この休憩時間は「完全に労働から離れる時間」ですから、もし、残業時間中に与えられる休憩であれば、その休憩時間を時間外手当の支給対象から除外しても間違いではないことになります。
 一般的に休憩は、昼休みとして1時間を与える会社が多いのですが、あなたの職場でも所定労働時間内に1時間の休憩が与えられているのなら、残業時間中の休憩は会社の判断によるものと考えられます。この場合、休憩の与え方について法律は関与しませんし、休憩を認めている以上、その分について労働時間から除外するという扱いも、法律上は特に問題はないといえます。
 ただし、それを一斉に与えていなかったり、休憩をとらずに働いていることを会社が常時黙認している場合は別です。休憩時間であっても、働いた分は時間外労働として手当を請求できることになります。まずは上司に、休憩時間中も働いている実態を報告し、改善の相談をしてみてはどうでしょう。


Q 休日出勤しても割り増し手当がつかない
 私の勤務先は、週休2日制にもかかわらず、休日出勤が多く、しかも休日出勤した日の日当には割り増し手当がついていません。法に則って割り増し賃金を要求することは可能でしょうか。

A 勤務時間が週40時間を超えれば時間外の割り増しが不要
 労働基準法では、使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えるか、4週間を通して4日以上の休日を与えなければならないとしています。また、週1回の休日に労働させる場合には、通常の勤務をしたときの賃金の3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
 しかし、週休2日制を採用している場合には、2日ある休日のうち1日を労働日にあてても、1週に1日の休日が与えられていることになりますので、割り増し賃金の支払いは必要ないことになります。つまり、会社側の扱いはなんら法律的には問題はないのです。
 ただし労働基準法では、1日の労働時間の上限を8時間、1週間の労働時間の上限を原則40時間と定めています。1日8時間、あるいは1週に40時間を超えて労働した場合には、その超えた分について、2割5分増しの賃金を支払わなければなりません。ですから、あなたが週2日のうちどちらかの休日に出勤することで労働時間が週40時間を超えているのなら、超えた分については割増賃金の支払いを要求することは可能です。
 なお、休日出勤の代わりとして代休が与えられるときは、割り増し分(×0.25)のみの請求となります。


Q 毎日20分程度の残業はカットされても当然か
 勤務先は18時が就業時刻ですが、後片づけをしていると、定刻から20分程度は過ぎてしまいます。これを1カ月にまとめれば7時間にもなりますが、「1日30分未満の残業は切り捨て」の定めがあるために時間外手当はもらえません。仕方のないことでしょうか。

A 1日ごとの切り捨ては違法、手当を請求できる
 所定終業時間後の整理整頓に費やされる時間が時間外手当の支給対象となるかどうかは、残業の内容が労働時間に含まれるべき作業であるか否かが問題となります。具体的には、作業服や制服の着用が義務づけられていて、終業時刻後に着替えるよう決められている場合や、翌日の作業のため前日中に準備をしておく必要がある場合には、これらは労働に不可欠な整理時間として労働時間に含まれます。これに対して、個人的に「出社したときに机の上が片づいていないと気がすまない」などの理由で終業後に行う整頓は、業務とは直接関係のない作業であり、勤務時間とは認められないことになります。
 一方、労働時間数の計算にあたっては、処理を合理化するために、労働者の不利にならない程度に端数を処理することが認められています。この労働時間の処理方法として、1カ月単位でなら30分を境にしての切り捨て、切り上げは許されますが、1日単位で30分未満を切り捨てることは許されていません。残業時間が1日当たりわずか20分であったとしても、その時間を1カ月間累積すれば相当の時間数となるからです。労働時間数に応じた手当を請求すべきといえるでしょう。
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