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ロシアとグルジア、軍事衝突の原因

同じ旧ソ連国家であるロシアとグルジア、対立の深刻化がいわれていましたが五輪開会にも関わらずいきなり軍事衝突に発展してしまいました。この紛争の背景には何があるのでしょうか?

執筆者:辻 雅之

南オセチア自治州とは?

グルジア
グルジアと南オセチア自治州。
「南オセチア自治州」は国際的にはグルジアの領土ですが、1992年から事実上独立状態になっていました。その状態だったこの地をグルジアがまず進攻、それに対してロシアがグルジアに独自の軍事制裁をしているのが現在(日本時間8/9未明)の状況です。

なぜ「南オセチア自治州」が独立状態にあったのか、そしてなぜロシアが絡んでくるのか、詳しくは「グルジア政治の基礎知識2006」をご覧頂ければと思いますが、ともかくも南オセチア自治州の住民・オセット人の独立運動にロシアが手を貸してきた経緯から、[グルジア]VS[南オセチア・ロシア]という対立の構図がここ数年深刻化していました。

6日ごろからグルジアと南オセチア自治州の部隊が衝突しはじめたとみられ、一時グルジアは南オセチア自治州の州都ツヒンバリを空爆するなど猛攻撃。これに対しロシアがよびかけた国連安保理緊急会合は決裂したことから、ロシアの「平和維持部隊」がグルジアを攻撃している状態です。

安保理決裂の原因は?

ロシアは当初グルジア・南オセチア自治州双方に「即時停戦・武力行使の放棄・交渉再開」を促す声明案を作成しましたが、アメリカ・イギリス・フランスが「武力行使の放棄」の削除を要求して譲らなかったため、会合は決裂しました。

アメリカら西欧諸国は親グルジア派。おそらく南オセチア部隊がゲリラ化した場合、グルジアが「武力行使の放棄」に縛られて対応が遅れ、打撃をこうむることを危惧したと見られます。

しかし結果的にはロシアの武力介入を招く結果となってしまいました。どこまでアメリカがこれを想定していたかわかりませんが、まだ五輪開会式出席のためブッシュ大統領とプーチン首相は北京にいるとみられ、開会式前にもこの問題について会談した2人ですが、今後さらに再会談がもたれる可能性があります。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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