(記事掲載/2007.02.06)

アメリカと並ぶ大国・ロシア。しかしロシアの今の基礎的な現状を知っている人は少ないのではないでしょうか。ロシア政治の基本から、今のロシア政治の状況、そしてプーチン大統領の横顔について簡単に解説してみました。

1ページ目 【ロシア政治制度の基礎知識~中央・地方】
2ページ目 【ロシアの政党事情、ロシア経済成長のわけ】
3ページ目 【プ-チン大統領がめざす「ロシア」とはなにか?】

【ロシア政治制度の基礎知識~中央・地方】

旧ソ連からロシアへ

エリツィン
初代ロシア連邦大統領・エリツィン。(写真:アメリカ国立公文書館サイトより)
1980年代末から活発になっていた「ソ連内共和国独立」の動きは、これに対して有効な手段をうてないゴルバチョフ・ソ連大統領(当時)への反発から生まれた1991年8月の保守派のクーデターと、その失敗によって加速していきました。

保守派のクーデターをおさえた中心人物となったがロシア共和国最高会議議長(当時)だったエリツィンでした。彼のリーダーシップにより、91年12月、ロシア・ウクライナ・ベラルーシの3国がソ連解体と独立国家共同体(CIS)創設で合意(ミンスク合意)。

その後、すでにソ連から独立していたバルト3国を除く他のソ連内共和国がこれに同調したため、ソ連は解体を余儀なくされ、ロシアほかソ連内共和国は国家として独立しました。

国際社会はこのロシアをソ連の後継国として承認。国連総会でのソ連の議席や、安全保障理事会での常任理事国の地位は、そのまま継承されました。

ロシアの政治制度・大統領

ロシアの政治制度
大統領の権限が強いロシアの政治制度。
その後、ロシアは大統領制となり、ルツコイ副大統領のクーデター未遂事件(1993年9月)鎮圧を経て、93年12月に現在の憲法が制定されました。では、この憲法で定められたロシア政治制度についてお話しましょう。

大統領は国民から直接選挙で選ばれます。任期は4年で2期まで、3選は禁止されています。

大統領は内閣の首相を任命することができます。議会下院に当たる国家会議は首相の任命についての承認権、そして内閣不信任決議権を持っています。

ただ、大統領は国家会議の不信任決議を却下することができます。国家会議は、3ヶ月以内に再び不信任決議をし、大統領に内閣総辞職か国家会議解散かを迫ることができます。これには応じなければなりません。

大統領制ですから、議会が大統領を不信任することはできません。大統領を解任することができるのは、大統領が明らかな非行を犯し、議会の弾劾裁判によってそれが認められた場合のみです。

ロシアの政治制度・議会

ロシア議会(連邦議会)は、下院に当たる国家会議と、上院に当たる連邦会議から構成されています。

国家会議議員は定数450で、任期は4年です。国民の直接選挙で選ばれます。小選挙区と比例代表選挙制によって選出されてきましたが、2007年12月に予定されている総選挙からは完全比例代表制に移行することになっています。

連邦会議はロシア連邦内の共和国や州などの代表によって構成されています。当初は共和国大統領あるいは知事、議会議長などがそのまま議員になっていましたが、プーチン大統領は2000年、議員を大統領・知事と議会が任命するものとしました。

それまでの連邦会議は「各国代表会議」という感じでまとまりがつかず、あるいは連邦政府に対して強力な要求をすることが多かったのですが、この改革によってかなりおとなしくなってしまいました。

議会の法案に対し、大統領は拒否権を持っています。これに対し議会が両院の3分の2以上の多数で再可決しなければその法案は廃案になります。

連邦国家ロシア

ロシアの連邦制度
現在ロシアは連邦=管区=共和国・州などという3層構造の連邦制をとっている。
ロシアは世界最大の連邦国家でもあります。

連邦を構成している主体のうち、もっとも自治権が大きいとされるのが共和国です。21の共和国があり、独自の憲法を持っています。(たとえばサハ共和国というのもロシア連邦内の共和国です。)

ただし、独立権(連邦離脱権)はありません。共和国の1つであるチェチェンでの紛争は、離脱を認めないロシアとチェチェンとの「独立戦争」的要素が強いといえます。

その他に州、地方、自治州、自治管区、それにモスクワ市とサンクトペテルブルク市が連邦の構成主体です。

ただし、プーチン政権はこの連邦制の求心力を高めるため、さまざまな改革を行ってきました。それは3ページ目でお話することにしましょう。

次ページではロシアの政党事情、そして経済事情についてみていくことにしましょう。