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2ページ目 【ロシアの政党事情、ロシア経済成長のわけ】
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【プ-チン大統領がめざす「ロシア」とはなにか?】

プーチン大統領の経歴

プーチン
若き大統領ウラジミール・プーチン。幼いころはスパイに憧れていたという。(写真はウィキ・コモンズより)
映画『007』シリーズにもよくでてくるソ連の諜報機関「KGB」。プーチンは少年時代からここで働くことを夢見ていました。15歳には直接支部に赴き就職を志願しています(池田元博『プーチン』)。

やがて彼は実際にKGBで働くことになりますが、やがてソ連解体にともないKGBも消滅します。

その後、プーチンはエリツィンに仕えるようになり、頭角を現わしていきます。こうして、彼は46歳の若さで首相に抜擢(1999年)、チェチェン紛争を強行手段で鎮圧すると、病気のエリツィンにかわり大統領代行に指名され、2000年の大統領選で当選、一気に権力の座を駆け上がりました。

そして彼は、8割近くに達する高い支持率を背景に、「やわらかい独裁」といわれる強権的な改革を断行していくのでした。

進むロシアの中央集権化

まず、大統領になった2000年、中央集権に向けて「連邦管区」制度を導入。全土を7つの連邦管区に分け、大統領に任命された代表のもと、管区にある共和国や州を監督することになりました。

これにより、ロシアの連邦制度は事実上、連邦=管区=共和国・州という形になり、共和国や州の力は弱まりました。

さらに「国家機構再編成法」を制定。これにより、連邦を構成している共和国や州などの首長(大統領や知事)は、2005年から直接選挙ではなく、大統領の提案に基づき議会が任命することになりました。事実上の大統領任命制です。

民主化勢力潰し? 選挙法改正

さきほどのページで述べた「小選挙区制の廃止」も、強権的なプーチン手法の1つといわれています。

新しい選挙法では、7%の得票が得られなかった政党には、国家会議(下院)の議席が与えられないことになっています。

ロシアではまだ少数派の民主派政党は、2003年総選挙でも3~4%程度の議席しか保有していません。新しい選挙法によって行われる2007年総選挙では、もしかしたらロシア議会から民主派勢力が一掃されてしまうかもしれません。

したたかなロシアの外交戦略

外交も強権的です。先ほど述べた豊富なエネルギーを彼はかなり強気に活用しています。ウクライナを屈服させ、ベラルーシにもロシアからのガス大幅値上げを認めさせました。

今後もこのような手法を使って、旧ソ連諸国に圧力をかけていくものと思われます。こんな調子ですから、北方領土問題が進展するようなことはちょっと考えにくいのが現状です。

しかし、硬軟使い分けているところも彼のしたたかなところです。

とりあえずアメリカとはつかず離れずの関係を維持。戦略核を削減するモスクワ条約を締結したりしています。

中国とは上海協力機構を通じて(結成は96年)協力関係を維持。2006年には中国や中央アジア諸国との合同軍事演習を行いました。

さらにインドも重視、インドの原子力発電所建設への協力に乗り出すなどして、技術とエネルギーの両面から関係を深めています。

EUとも貿易額を伸ばし、EU・ロシア首脳会談やサミットなどでEUとの協調関係をアピールしたりしています。

新生ロシアか、それとも「ソ連の復活」か

ソ連の国旗
「プ-チン政権はロシアを旧ソ連のような強権的・覇権的な国家に戻そうとしている」という懸念が深まっている。
そんななか、元ロシアスパイ変死事件は、世界に衝撃を与えました。政権によるメディアへの締め付け・支配強化が進み、そのなかでジャーナリストたちが暗殺されたりしている状況。……ロシアは昔の「暗黒のソ連」に逆戻りしているのではないか、と、欧米各国は懸念しています。

しかしロシアにしてみれば、エネルギーを売る有望市場である西側先進国を失いたくはありません。「ソ連の内政干渉はするな!」と一方ではどう喝しながら、「でも石油やガスは買ってね、足りないんでしょ」と足下をみながら話をする、それがプーチン外交。

ロシア国内や周辺諸国の民主化を要求すべきか、それともエネルギーや資源をいい条件で売ってもらうよう関係を深めるか……ロシアとの付き合い方、なかなか難しそうです。

「ロシア政治の基礎知識2007」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。

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