1ページ目 【ロシア政治制度の基礎知識~中央・地方】
2ページ目 【ロシアの政党事情、ロシア経済成長のわけ】
3ページ目 【プ-チン大統領がめざす「ロシア」とはなにか?】

【ロシアの政党事情、ロシア経済成長のわけ】

ロシアの政党事情

ロシアの政党勢力図
2006年現在のロシアの政党勢力図。与党が圧倒的な勢力を誇る。(出典:外務省サイト)
まだロシアに政党政治が根付いた観はありません。エリツィン、プーチンとあまりにカリスマ的な大統領が君臨しているからとか、まだまだ西欧的な議会制が定着していないから、などといわれています。

最大勢力であり大統領の与党であるのが「統一ロシア」です。国家会議(下院)の実に約7割弱をおさえる大政党です。

これはそもそも「プーチン与党」として99年に作られた「統一」と、ルシコフ・モスクワ市長をリーダーとする「祖国・全ロシア」が、2001年に合同してできた政党です。

野党第1党であるのが共産党です。ソ連最末期に解体した共産党ですが、93年に復活。ソ連体制・社会主義復活を唱え、徐々に議席を伸ばしていきました。96年大統領選では、党首ジュガーノフが40%得票し、当時のエリツィン大統領を脅かしました。

しかし、その後はプーチン人気とロシア経済の好調によって徐々に支持が低迷。2003年総選挙では議席を半分ほどに落としてしまいました。

第3党である自由民主党は「極右政党」だといわれています。もともと、大統領を狙っていたジリノフスキーを支持する政党ということもできます。「アラスカ返還」などを主張するほどの過激なナショナリズムが支持の要因で、ジリノフスキーは91年大統領選で第3位に入りました。

しかし90年代半ばから支持を落としていき、結局体制側についてしまいました。というわけで現在は事実上連立与党状態といってもいいかたちです。おかげで2003年総選挙では議席を増やしました。

いわゆる民主勢力は、議席をあわせても10%にも達していません。都市のインテリ・中産階級のみが支持母体であり、組織力の弱さが指摘されています。

エネルギー大国化するロシア

ロシアの石油・GDPなど推移
エネルギー増産のおかげで、ロシアは堅調な経済成長をとげ、インフレも抑えられつつある(出典:外務省サイト)
さて、ロシアは一時の経済危機を脱し、テイクオフ(離陸)しつつあるといわれています。

その主軸となっているのがエネルギーです。

実は、ロシアは今や世界第2位、サウジアラビアに匹敵する「原油生産大国」なのです。カスピ海沿岸に多くの油田があることなどが知られていますが、これらの産出が近年盛んになっています。

天然ガスは2004年に産出量1位となりました。第2位に転落したアメリカと違い、まだまだそうとうの埋蔵量があると見込まれているので、これからも増産していくことになるでしょう。

そして原油高。原油は高く売れ、代替エネルギーとしての天然ガスもたくさん「在庫」がある状態。このおかげでロシアの経済復興はかなり順調なのです。2005年の経済成長率は6.4%。財政黒字3兆円という好調さです。

そして、このエネルギーを使って、周辺諸国への影響力を再び増そうと考えています。脱ロシアを図ったウクライナが、ガス供給ストップをちらつかされ屈したことを覚えている方も多いでしょう。天然資源の豊富さは、政治力の強化にもつながっているのです。

ただ、順調なのはエネルギーだけで、肝心の工業化の進行がそれほど進んでいるわけでもなく、また金融制度もうまくは整備されていません。そういう点では、まだまだ経済に問題点が残っているといえます。

しかし、エネルギーで儲けた外貨を使って、今後、さまざまな投資を行ってそういった面がクリアされるなら、ロシアは「第2の中国」として大きな発展を遂げることができるでしょう。

強権的経済政策をすすめるロシア

もっとも、プーチン政権は今はその利益を使って工業化を推進、というよりもエネルギー依存一辺倒的な経済政策を行っているのが現実です。

そして、強権的な方法でエネルギー政策を実行してきています。その代表例が「ユコス事件」です。

2004年、当時ロシア1の石油会社だった「ユコス」の会長が突如脱税で逮捕され、ユコスはたちまち破産の危機に直面、結局国営企業に吸収されてしまいました。

市場経済への流れを無視するようなこの事件に欧米諸国は反発。結局ロシアは未だにWTO(世界貿易機関)にも加盟できない状態です(ただ政治的配慮から2007年中に加盟実現という話もあります)。

次ページでは、そんなプーチン大統領の強権ぶりについて、お話していくことにしましょう。