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モンゴル暴動の背景

モンゴルで総選挙の結果を不満とする群衆たちによる暴動が起こりました。平和な国という印象があるモンゴルですが、モンゴルの抱える問題とは何なのでしょうか。政党事情とあわせてお話しします。

執筆者:辻 雅之

モンゴルの政党事情

モンゴルの政治機構
モンゴルの政治機構。
モンゴルでの死者も発生した大規模暴動。総選挙の結果を不満とする人々によって起こされたものとされています。

モンゴルの主要政党は2つです。1つは今回の選挙で勝利した人民革命党。もともと、モンゴルが社会主義国家だったころ一党独裁をしていた政党で、共産党にあたる政党です。東欧諸国の社会主義体制崩壊を受けて、人民革命党は自ら一党独裁を放棄、複数政党制を導入しました(1990年)。

もう1つの政党が民主党です。非共産系の政党は民主連合などを結成していましたが、その盟主的存在が民主党です。2004年の総選挙の結果、人民革命党と民主党率いる「祖国・民主連合」の大連立政権が生まれ、初の民主党首相(エルベグドルジ首相)が誕生しました。

しかしこの政権は「民主連合」の分裂などによって長続きせず、2006年、人民革命党の単独政権に戻っていました。

市場経済移行中国家の不安定さ

1990年代以降、モンゴルは市場経済への移行を進めてきました。急進的な移行を進めようとするのが民主党系の政党で、わりと慎重なのが人民革命党ですが、いずれにせよモンゴルの経済構造は急速に変化しています。

そのため経済成長も著しく、2006年の経済成長率は8.4%に達していますが、反面インフレ率も高く、2007年の速報値では9.0%にまで上昇しています。

このように経済が大きく変化する中、格差が拡大していき、さらに旧独裁政党だった人民革命党のもとで汚職が広がっている……そんな不満が、総選挙をきっかけに広がっていき、大きな暴動に発展していったといえます。

暴動は終息に向かっているようですが、たとえ民主化が進んでも、市場経済移行中の旧社会主義国(中国・ベトナム含む)はなかなか不安定な要素が多いことを示す出来事でした。中国の経済格差も、民主化がたとえ実現したとしても、容易に解決できることではないということでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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