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どうなる2008台湾総統選挙(3ページ目)

今年は陳水扁総統の任期が切れて、8年ぶりに新総統が決まる総統選が行われる台湾。台湾の政治情勢、政治システムの基礎知識とあわせて、台湾総統選についての情勢をわかりやすくお伝えしたいと思います。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【台湾政治システム、基本知識】
2ページ目 【台湾の二大政党と独立問題】
3ページ目 【台湾総統選挙のゆくえは?】

総統候補はどんな人

台湾総統選
台湾総統選まであと2ヶ月あまり。
先ほどもお話しした通り、憲法で総統の三選は禁止されているので、陳水扁総統は出馬できません。2008年は新しい総統が誕生する年になるのです。

すでに国民・民進両党の総統候補は決まっています。与党民進党は予備選を行い、謝長廷・前行政院長(首相)が勝利、候補の座を射止めました。謝氏は京都大学に留学した経験を持つ人で、民進党創設メンバーの1人です。陳総統とは流れが違いますが、台湾独立を明確に主張することでは一致しています。

国民党は、前の党主席で前台北市長の馬英九氏が公認候補です。香港生まれでハーバード大学に留学。蒋経国元総統の秘書をつとめるなど、基本的に「生粋の国民党員」といえるでしょう。

馬英九氏は台北市長時代の公金流用の罪を問われて起訴されていましたが(そのため党主席を辞任)、2007年8月の1審判決で無罪。そのため、この事件がかえって馬英九氏の追い風になっている形です。

「前哨戦」議会選は国民党が勝利

台湾議会議席
2008年の台湾立法委員選(議会選)での二大政党獲得議席数。
ここ2年ほどの台湾の大型選挙は、おおむね国民党優勢で進んでいます。

2005年の主要都市県市長選挙では国民党14名、民進党6名当選と国民党の勝利。2006年の台北・高雄市長選は台北市を国民党が、高雄市を民進党が、それぞれわけあいました。

そして今年2008年の1月に行われた立法院(議会)選では、国民党が定数113議席のうち81議席を獲得。対する民進党は27議席に終わり、台湾団結連盟は議席を取れませんでした。国民党が2005年以来訴えてきた対中関係改善が支持されたといわれています。

一方馬氏の「汚職事件」は過去のものになった感じで、選挙ではかえって陳政権の汚職・腐敗が問題になる状況。このようななか、馬氏の支持率は50%を超えていると読売新聞は報じています。

同時に行われる住民投票

さて、陳政権は立法委員選と同時に住民投票を行うことを決定しています。

これは、台湾の国連復帰をめざすかどうか、住民の意思を問うものです。しかも、「中華民国」という名前ではなく、「台湾」という名前で新規加盟を目指す、というものです。

もしこの住民投票で提案が可決されてしまうと、台湾情勢はまた複雑さを増すことになるでしょう。

今のところ、中国との融和を掲げる国民党の馬候補が優勢です。しかし、「正名運動」(「中華民国」ではなく「台湾」を名乗ろうとする運動)がさかんになったこともある台湾で、この提案が可決される見通しもあります。

3月に誕生する台湾新総統。いきなり「中国と台湾住民の板挟み」の苦しい状況になってしまうのか、注目したいところです。

※追記(2008.2.5)国民党が提案した「中華民国」名義での国連復帰も同時に住民投票にかけられることになりました。

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◎関連インデックス アジアの政治

「どうなる2008台湾総統選挙」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。

▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座

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