2ページ目 【国家主席・国務院総理など中国政府の重要ポストと権限】
3ページ目 【中国共産党のシステムと民族自治区・特別行政区】
中国共産党のしくみ
中国共産党のしくみ。中央委員会のトップが総書記、地方委員会のトップが書記で、それぞれ中央・地方の政府を指導する。また、軍に対する指導も行う。 |
その下のクラスが政治局員であり、さらにその下に中央委員がいます。ここまでが党中央の主要幹部です。
さらにその下に党大会に出席できる代表たちおよそ2500人がいて、その下に一般党員がいるという形です。
政治局員や中央委員たちの多くは党の役職についており、その8割が地方でのものです。共産党は省あるいは直轄市・自治区ごとに委員会を設けており、書記がナンバー1となって地域の政治を指導しています。
書記がその省の人民代表大会主任(議長)を兼ねることも多くなっています。一方、国家組織としての省のナンバー1である省長は副書記など書記の格下が就任することが通例です。書記は中央からの派遣、副書記は地方幹部からの登用、というのもよくみられるパターンです。
民族自治区と少数民族
中国には5つの民族自治区と2つの特別行政区がある。自治のレベルは特別行政区のほうが高くなっている。 |
内モンゴル・シンチャンウイグル・チベット・ニンシヤホイ族・コワンシーチョワン族自治区の5つがこれにあたります。
自治区にも人民代表大会と人民政府が置かれますが、人民代表大会の常務委員長と自治区主席にはその民族の市民が就任することと定められています。
もっとも、共産党はこれらの地域でも委員会を設けており、委員会のトップである書記には中央から派遣された漢民族の党員が就任します。この書記の指導を受けながら、民族自治区は運営されているのが実情です。
これら自治区では独立運動が存在するところもあります。チベットの独立問題は有名です。しかしそのお話は「政治情勢編」に譲ることにします。
「特別行政区」香港・マカオ
香港とマカオは「特別行政区」に指定されており、中国憲法とならんでそれぞれの地域に適用される「基本法」により統治されています。これにより、両地域は高度な自治が許されていて、資本主義的な独自の法体系を持つこと、独自の司法権を持つようになっています。このように中国の国内で異なる政治制度が機能していることを「一国二制度」といいます。
もっとも、この状態が今度どこまで維持されていくのか、不透明な部分は少なくありません。
共産党以外にも存在する政党
中国は共産党しか政党がないと思われがちですが、実際には「民主党派」といわれる小政党が8つ存在しています。8政党とは、中国国民党革命委員会(民革、国民党の分派)・中国民主同盟(民盟)・中国民主建国会(民建)・中国民主促進会(民進)・中国農工民主党(農工党)・中国致公党・九三学社・台湾民主自治同盟のことです。
これらは共産党の中国指導権を受け入れた共産党の「友党」であり、これらの政党と無党派の人々、数々の団体、台湾などからの代表などが共産党と「中国人民政治協商会議」を作っています。
しかし、歴代の会議主席には共産党の幹部が就任しており、この会議に共産党に対する監視などの役割を期待するのは難しいといえます。
巨大な中国の政治。その情勢については、次回「政治情勢編」でお話していきたいと思います。
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