2ページ目 【鉄壁の自民=公明の協力関係が働かなかった?】
3ページ目 【静かに自民基盤を侵食している民主党の勢力】
確かに「年金問題」「閣僚問題」は大きかったが……
民主新人候補が自民党参院幹事長を落選させ注目された岡山選挙区。 |
確かに、読売新聞の報道によると、投票にあたって多くの有権者が「年金問題」をテーマに投票し、「年金不信派」のおよそ52%が民主に投票したとされています。年金問題がなければ、民主はここまで躍進しなかったかもしれません。
しかし、同じ読売新聞の報道によると、「支持政党なし」の有権者が比例で民主に投票した割合は50.5%。これ実は、前回参院選の50.6%とあまり変わらない、というかむしろ微減ですね。
このことを考えると、「無党派層が民主を支持した」ということだけでなく、そもそも「民主支持層が増加している」こともあると見たほうがよさそうです。
民主は組織固め進め、自民は守勢の地方
今年は4月に統一地方選挙がありました。石原都知事の3選など、全体として「自民有利」と報道されていましたが、実際には民主党は県議会や政令指定都市市議会レベルで、かなりの議員を上積みしていました。加えて、地方格差問題の広がり。民主党は徐々に地方に侵食しはじめています。読売新聞によると、都市規模別の比例得票率で、民主は政令都市や中都市だけでなく、今回はじめて小都市・町村部でも自民よりも多く上回ったとされていますが、このデータはそれを裏付けているのかもしれません。
89年、消費税問題で大きく躍進した社会党は、しかしその後凋落の一途を歩み続けました。社会党は無党派層だけを頼りに躍進、地方での基盤づくりをおろそかにしていたという面があります。
しかし、民主はいま地方に大きく手を広げつつあります。年金問題の怒りは突発的ですが、地方住民の格差に対する怒りはかなり持続的なものです。この怒りを民主党が受け止めることができれば、次の衆院選、もはや「農村部に強い自民党」というフレーズは聞かれなくなるかもしれません。
特に農村部の多い東北、山陰、四国において、今回の参院選で自民がことごとく議席を失ったことは、政党への支持基盤がゆるやかに変化しつつあることを物語っているのかもしれませんね。
小沢代表は首相を目指さない?
策士・小沢一郎代表の「次の一手」は? 果たして「つめ将棋」にもっていくことはできるか? |
にっちもさっちもいかなくなると、安倍政権は早期の衆院解散、総選挙を選ぶのではないか、という見方が次第に広がっています。
しかしこうなると「政権選択選挙」。有権者は果たして首相として「小沢一郎」という人物を選ぶのでしょうか。このあたりは、ちょっと「微妙」なところです。
もしかしたら民主でもサプライズを起こすかもしれません。例えば「党代表」と「首相候補者」を分離させて、菅直人代表代行などを首相候補に押し立て、選挙に臨むのではないか、あるいは……自民党から大物議員を引き抜き、首相候補に擁立するのではないか、ということです。
そのあたりは「策士」小沢一郎。お手並み拝見、といきたいところです。「策士策に溺れる」という格言もあることを付け加えておきましょう……。
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