2ページ目 【鉄壁の自民=公明の協力関係が働かなかった?】
3ページ目 【静かに自民基盤を侵食している民主党の勢力】
公明党頼みの戦略にほころび?
自民党があてにしていた「困ったときの公明党」頼りは、今回有効に働かなかった。 |
今回も、公明党は自民党を大きく支援していたといえるでしょう。
毎日新聞は、公明候補がいない42選挙区では、公明支持層の66%が自民候補に投票していたと報じています。これは前回参院選と比べ4.9ポイント上昇しているということです。
読売新聞は、やはり公明候補がいない42選挙区で公明支持層の64%が自民候補に投票していたと報じています。読売調査では前回比で3.6ポイント増です。もっとも、民主候補にも16.6%が投票しているとしています。
ともかく、公明党の自民支援はいつも通り発揮されたといえます。しかし、自民党は負けたどころか惨敗。投票率が飛躍的に伸びなくても、公明からの「組織票」は自民には活かされなかった。
「公明支持の神話」は、やはり「神話」として崩れつつあるということでしょうか。ともかく自民党は、公明党に頼るだけでは議席がとれないことが、今回の結果や各種新聞の調査でよくわかってきたことです。
しかし、公明党がいなければやはり票が獲得できない体質になってしまった自民党。公明軽視もよくないし、しかしべったりでもいけない。今後、自民党はどういう協力戦略を立てていくでしょうか。
「3人区で公明落選」の波紋
激戦となった東京選挙区。公明・自民候補が苦戦した。 |
3人区、すなわち3人当選する埼玉・千葉・神奈川・愛知・大阪選挙区のうち、千葉を除く4選挙区で公明候補が立候補していました。順調にいけば、自民・公明・民主と議席を分け合える選挙区でした。
しかし、埼玉・神奈川・愛知で公明候補が次点となり落選。このことは何を物語っているのでしょうか。
1つには、先ほどから述べている公明組織票の「限界」です。いくら組織票があるからといっても、やはり無党派層を取り込めなければ、公明候補は当選することができないということ。
もう1つは、自民=公明の協力がうまくいっていなかったのではないかということです。もう少し突っ込んでいえば、自民支持層が公明をバックアップできていなかったということです。
実際、毎日新聞の報道によると、公明候補に投票した自民支持層は埼玉で16.0%、愛知では11.3%と低調。この2つの選挙区は自民=公明が「与党協力区」として選挙協力を密にすることになっていました。そこでの公明候補の落選。
このことについて読売新聞は「公明党支持者の自民党に対する不信感を強めそうだ」と報じていますが、今後の自公連立の行方、どうなっていくのか注目したいところです。
次ページでは、民主党躍進の要因について、あまり触れられていない部分をみていきましょう。