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成立した国民投票法、重要条文をチェック!(3ページ目)

5月14日、憲法改正の国民投票手続などを定めた「国民投票法」が成立しました。賛成・反対、いろんな議論を経てできた法律ですが、どんな法律なんでしょう。重要条文を一緒に読んでいきましょう。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【憲法改正国民投票の実施は早くて2010年】
2ページ目 【国民投票に関する運動の規制はどうなっている?】
3ページ目 【これが国民投票で使われる投票用紙の見本!】

【これが国民投票で使われる投票用紙の見本!】

投票用紙に書けるのは「○」だけ

国民投票の投票用紙はどうなっているのでしょう。下が、その用紙の見本です。
国民投票用紙見本
国民投票用紙の見本。左が表面、右が記載する裏面。

賛成の人は記載欄の賛成の文字を、反対の人は記載欄の反対の文字を、それぞれ「○」で囲む方式になっています。それ以外のことを書くと無効です。賛成に「×」などをつけてはいけないのですね。

もし国民投票が行われたときには、大事な一票が「無効票」になってしまわないように、十分気をつけましょう。

その他、通常の国政選挙で認められている、点字投票や洋上投票、在外投票、そして期日前投票の制度も設けられています。期日前投票は投票14日前から前日まで行われることになっています(第60条)。

なお、投票は「憲法改正案ごとに、一人一票に限る」(第47条)となっているので、場合によっては2つ以上の改正案についてそれぞれ投票する場合もでてきます。国民投票によって一方の案は承認、一方の案は不承認という結果になることも可能性としてはあるわけです。

国民投票無効の申し立て

実施された国民投票に異議がある人は、結果が官報に告示されてから30日以内に無効申し立ての訴訟を起こすことができます。この場合は東京高等裁判所に提訴しなければなりません(第127条)。

しかし、無効としなければならない理由は(1)管理手続違反(2)多くの国民の自由投票妨害(3)確定票数の誤りと限定されていて(第128条1項)、たとえば多くの国民が自発的にボイコットしたから無効、という訴えはできないことになっています。

無効の申し立て中、裁判所は憲法改正の効果停止をすることができます(第113条)。無効の決定が確定した場合は、国民投票は中止されるのではなく、再投票を行うことになっています(第135条)。

憲法改正案の作成と提出

国民投票法では、国会の衆参両院に「憲法審査会」を設置し、「憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案を提出することができる」ようにしています(第83条の4)。

これは、2010年の国民投票法完全施行前に例外として設置されます。このことによって、憲法改正に向けたこれまで以上に具体的な議論が国会で行われることが予想されます。

また、議員によって改正案を提出するときは、「衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成」が必要と規定されています(第151条)。

内閣が改正案を提出する規定はないので、できないと考えられます。憲法改正案はあくまで主権者である国民の代表である国会が作るべきだという考え方だと思われます。実際、この国民投票法も内閣提出法案ではなく自民党議員による議員立法というかたちで制定されました。

投票率が極端に低くても国民投票は成立

国民投票法では、最低投票率の制度を設けていません。

第126条1項「国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第九十八条第二項に規定する投票総数の2分の1を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする。」

極端な話、投票率が10%でも、過半数の賛成票があれば憲法改正は成立します。最低投票率制度を「悪用」して意図的なボイコット運動が行われることを防ぐのが目的です。

しかし、あまりにも低い投票率だった場合、憲法の「正統性」に関していろいろと異議が生まれてくるかもしれません。

◎関連記事 「国民投票法案・一問一答」

▼こちらもご参照下さい。
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