(記事掲載/2007.05.14)

「日本国憲法の改正手続に関する法律」いわゆる「国民投票法」が参議院本会議で可決、いよいよ憲法改正のための国民投票手続が具体的に決定しました。議論の多かったこの法律、じっくり読んでいきましょう。

1ページ目 【憲法改正国民投票の実施は早くて2010年】
2ページ目 【国民投票に関する運動の規制はどうなっている?】
3ページ目 【これが国民投票で使われる投票用紙の見本!】

【憲法改正国民投票の実施は早くて2010年】

憲法改正国民投票実施は早くて3年後

国民投票については、憲法のみならず国政の重要事項についても行われるべきだという野党案も提出されましたが、結局憲法改正のためだけに行われることになりました。

さて、この法律ができたからといって、安倍政権が目標としている憲法改正がすぐに行われる、ということはありません。法律の施行時期が公布後3年となっているからです。

附則第1条「この法律は、公布の日から起算して3年を経過した日から施行する。ただし、第六章の規定(国会法第11章の2の次に1章を加える改正規定を除く。)並びに(中略)は公布の日から施行する。」(下線はガイドによる、以下同じ)

選挙権年齢の引下げ

教材
大学受験にいそしむ高校3年生も国民投票の有権者になる!
そして、すでに『なぜ日本は20歳?選挙権の年齢』でもお話していましたが、この法律によって選挙権年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられることになりました。

第3条「日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する。」

ここではあくまで国民投票に関する規定ですが、この法律の附則はさらに、法律の施行までに他の選挙についても選挙権年齢、さらには成人年齢までも、18歳以上にするよう検討し、改正するよう促しています。

附則第3条「国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」

3年後、成人は18歳以上になる可能性がかなり高くなってきたのです。ここでは民法までにとどまっているので、喫煙や飲酒について認められるかどうかはわかりませんが……とにかく「選挙権は20歳から」という「常識」は「3年後の非常識」になる可能性濃厚ですね。

国民投票はいつ行われるか

投票箱
国政選挙と違い、憲法改正国民投票には国民に考える時間が長く与えられることになる。
国民投票は憲法上の規定によって、国会が「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議」(日本国憲法第96条1項)しこたことを受けて、行われることになっています。

これを受けて国民投票法では、

第2条「国民投票は、国会が憲法改正を発議した日(国会法第68条の5第1項の規定により国会が日本国憲法第96条第1項に定める日本国憲法の改正の発議をし、国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行う。」

とし、国会発議から60~180日の間に国民投票を行うよう定めています。衆議院解散から総選挙までが40日以内とされていますから、これは長めにとってありますね。憲法改正だけに、慎重な判断を国民に求める、ということでしょうか。

そしてこの間に、「広報協議会」が置かれることになっています(第12条1項)。この協議会は発議の時に国会議員だった人から、衆参両院から各10名の委員で構成され(第12条2項)、「委員は、各議院における各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当て選任する。」(第12条3項)となっています。

つまり、改正案に反対している会派(政党)からも、委員が出ることも想定されています。もし所属議員数の比率によって反対政党から1名も委員が出ない場合には、反対派政党からも委員を置くよう配慮しなければならないようになっています(第12条3項)。

協議会の事務で一番大切なものは「国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成」(第14条1号)となっていますから、その任務は重大ですね。

次ページでは、国民投票についての「選挙運動」がどのような規定になっているのか、見ていくことにしましょう。