ラクイラ・サミットで存在感を示した新興国
食糧・農業分野、環境、貿易……新興国の声を聞かずして国際問題解決の道筋はならず |
従来は経済規模の大きな先進国が世界をリードしていたのですが、今は経済発展の目覚ましい新興国が発言力を強めているのです。
ラクイラ・サミットの「拡大会合」では中国やインドなど新興国がG8に加わり、世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の早期再開めざして議論。中国が提案した国際通貨制度改革の必要性も共同宣言に盛り込まれるなど、新興国の存在感が増しています。
ラクイラ・サミット「拡大会合」メンバー G8+ 中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、エジプト |
また、ラクイラ・サミットに併せて、主要経済国フォーラム(MEF)を開催。「温暖化ガス世界全体排出量を2050年までに半減」は新興国が反発して合意できず、洞爺湖サミットに続き温暖化問題調整が難しくなっています。
主要経済国フォーラム(MEF)メンバー G8+ 中国、インド、ブラジル、韓国、メキシコ、オーストラリア、南アフリカ、インドネシア、デンマーク |
新興国の「主要国」入りも時間の問題?
2009年9月には、米ピッツバーグでG20の開催が予定されています。もともとG20は、リーマン・ショック後の金融危機への対応を協議するために開催された一時的な緊急会合。別名「金融サミット」と呼ばれています。
ラクイラ・サミットで合意できなかった温暖化問題は、G20で再び議題に上るはず。これを契機に、G20はいずれ金融サミットではなくなり、新興国とともに国際問題を解決する場になるであろうとの期待も込められています。
G20(20カ国・地域首脳会合)メンバー G8+ 中国、インド、ブラジル、韓国、メキシコ、オーストラリア、南アフリカ、インドネシア、アルゼンチン、トルコ、サウジアラビア、欧州連合(EU) |
今までのところ日本は、安易にサミット参加国を拡げるのは反対、という立場をとっています。しかし、温暖化問題1つとっても、それぞれの国の立場で主張が違い、国際間で歩調を合わせるのが難しくなっています。従来のサミット参加国がむりやり世界をリードするのは、そろそろ限界でしょう。
9月のピッツバーグをきっかけに金融サミットであるG20が昇格し、金融以外の政治・社会問題も議論するというように、定例化する本格的な「主要国会合」となるのも、時間の問題といえそうです。
【関連サイト】
・『バイアメリカン条項とは?保護貿易主義とは?』
・『サミット(主要国首脳会議)』(All About「よくわかる政治」ガイドサイト)
・『G8サミットのメンバーに異変?』(All About「よくわかる時事問題」ガイドサイト)
【関連リンク】
・『エネルギー資源・環境問題』