2ページ目 【「亥年現象」のメカニズムとはどのようなものか?】
3ページ目 【2007年参院選の「亥年現象」はどのように現れる?】
【2007年参院選の「亥年現象」はどのように現れる?】
確かに亥年には強い公明党と共産党
前のページで、公明党・共産党の「亥年現象」について書きました。実際にはどうなっているのでしょうか。下のグラフに両党の参院選での獲得議席と投票率の推移をまとめてみましたので、ごらんください。参院選での公明・共産両党の獲得議席数と投票率の推移を重ねたもの。赤字・赤帯が亥年。また、橙色の帯の年は投票率が減少した年。ちなみに95年選挙では、公明党はいったん解消しており、公明勢力は新進党に加わっている。 |
共産党は、亥年に獲得議席を増やしたのが2回、前回と同じ獲得議席だったのが1回、減らしたのが1回。まずまずの亥年効果というところでしょうか。
公明党は3回のうち2回、獲得議席を増やしています。また、95年選挙では公明勢力は新進党に加わっていたのでノーデータですが、先のページで説明した通り新進党自体が大きく躍進しています。
唯一、71年選挙では獲得議席を落としています。1970年に政治評論家・藤原弘達(1999年没)の著書『創価学会を斬る』をめぐり、創価学会と公明党、そして自民党の田中角栄などが出版者などに圧力をかけた事件が問題となった翌年の選挙です。公明党が著しくイメージダウンしていたときの選挙で、例外と考えていいでしょう。
さらに注目すべきは、亥年以外でも投票率が下がると公明党は好調であるという点でしょう。先に説明した71年と、89年以外、獲得議席を増やしているか前回同様の議席を獲得するかしています。
89年もまた例外といえます。このときは消費税問題に加え「おたかさん(土井たか子)ブーム」「マドンナ旋風」で社会党の議席が急増した選挙です。公明党、共産党ともにそのあおりを食った形で獲得議席を減らしています。
2007年の「亥年」は意外な現象が起こる?
さて、このことを踏まえて2007年参院選を占ってみたいと思います。95年までと状況が違うのは、「自民党と公明党が連立関係にある」ということです。06年10月の補欠選挙でも、公明支持層の8~9割が自民候補にまわり、自民の圧勝を招いたと報じられました。
それを考えると、今度は「逆・亥年現象」、つまり自民党が公明党の強力な支援を受け、堅調に参院選を闘うのではないでしょうか。
反対に、そのような組織的集票マシーンが弱い民主党にとっては、投票率の低下によって獲得議席は伸び悩むか、減少するかもしれません。
来年の参院選は、こういった「逆・亥年現象」が起こるのではないかというのが、ガイドの見方です。
もっとも、亥年現象は必ずしも実証されたものではありません。かなり経験則的な要素が強く、「投票行動」の専門家は懐疑的に考えている人が多いようです。そのような批判的見地から亥年現象を分析した専門家もいます。
「亥年」もあれば「寅年」も……
さて、もう1つ「寅年現象」というのがあるのでお話しておきましょう。寅年の参院選は翌年に統一地方選挙を控えています。そのため、地方議員たちは来年の自分たちの勝利のため、熱心に運動をするため、投票率が上昇するというものです。
赤字・赤帯の年が寅年。自民党の獲得議席推移と重ねてある。 |
確かに寅年に投票率は必ず上昇しています。しかし、これと自民党の獲得議席との関連性は薄いようです。
★選挙について詳しいことを知りたい人は「選挙制度や選挙違反など選挙のしくみ」を見てみましょう!
※「日本政治の『亥年現象』ってなんだ?」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。
▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座
●「政治の基礎知識・基礎用語」 政治の基礎的な知識はこちらでチェック!