2ページ目 【中間選挙と大統領・大統領選との密接な関係】
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【2006年中間選挙がもたらす影響とは、果たして?】
図式は民主党優位、共和党苦戦
昨年から、民主党が優位、共和党が不利である点は変わっていません。下の図は、今年の政党とブッシュ大統領の支持率です。政党支持率はギャラップ社の、大統領支持率はギャラップ社・CNN・USAトゥデー共同の調査から。 |
民主党有利の背景はなんといってもイラク戦争をめぐる情勢です。多くのアメリカ国民がイラク戦争やそれにともなうアメリカ軍のイラク長期駐留を批判するようになってきました。それが、政権与党である共和党への批判となって現れています。
しかし裏を返せば、民主党が積極的な支持を集めているわけではないこともいえるわけです。政権への批判が民主党支持にまわっている形。
もし中間選挙直前に、イラク情勢が何らかの形で好転するようなことになれば、民主党の支持率は低下するかもしれません。現に、今年7月には民主・共和の支持率が一時拮抗。
民主党優位は事実としても、それが磐石ではないことに注意しなければならないと思います。
結果はイラク戦争にどう影響する?
アメリカ世論調査機関ギャラップ社によると、国民のイラク戦争への批判は高まっているが、その度合いは共和党・民主党支持者によって大きく異なるということです。つまり、共和党支持者のおよそ4割はブッシュ政権のイラク政策に対して賛成か、やや賛成となっている。ところが、民主党支持者のおよそ7割が、ブッシュ政権のイラク政策に対して反対の姿勢を示しているというのです。
もし、この声をうけて民主党が勝利するようなら、民主党はブッシュ政権にイラク政策のなんらかの見直しを迫るでしょう。つまり、早期の撤退に向けたプロセスを本格化すること、ないしは一部撤退を実行することです。
もし民主党が大勝し、下院で共和党を上回る「分裂政府」状態になれば、その圧力は日に日に高まっていくでしょう(※2006年現在の下院での勢力は共和党231、民主党202、無所属1、欠員1。上院での勢力は共和党55、民主党44、無所属1。上院が民主優位になる可能性は少ないと思われます)。
そのような状況でブッシュ大統領がどのような選択をするか……場合によっては当然次の大統領選に響いてくるわけで、議会内やワシントン外の共和党勢力が大統領に圧力をかけるようになるかもしれません。
2008年大統領選挙への影響は?
この中間選挙を勝てば、自アメリカ史上初の女性大統領が見えてくる?ヒラリー・クリントン上院議員 |
知名度は抜群、聡明さも知られているところですし、候補者としての「ステイタス」上院議員という職にも就いています。
彼女、実は今回の中間選挙の改選者の1人で、まずはここを突破しなければ大統領選への道はないのですが、当選すれば、すでに大統領選に向けた全国的な資金集めをしているとのことですし、発言も注目され、また夫であるクリントン元大統領の人気も伝記の発売で上昇中。民主党予備選のみならず、大統領選自身の有力候補に躍り出ることになるでしょう。
共和党は、ブッシュ大統領が憲法上の規定(3選禁止)で出馬できません。中間選挙で共和党が負けた場合、いやな雰囲気を誰が断ち切っていけるかが、共和党大統領候補になる1つの決め手になるでしょう。
有力な候補は2人。「9・11」の時のニューヨーク市長として知名度抜群のジュリアーニ氏、そして前回の選挙でも旋風を巻き起こしたマケイン上院議員、この2人です。
ジュリアーニ氏の不安点は上院議員または州知事、副大統領の経験がないこと。ケネディ大統領以降現在まで9代の大統領は、いずれもこの経験があります。また、共和党穏健派で、中絶容認派、同性愛社の権利擁護派。共和党の右派の支持を得ることができるかどうかも1つの課題です。
マケイン議員はベトナム戦争従軍経験などを持ち、「戦争の痛みがわかる」共和党政治家として人気があります。ただし、「一匹狼」的なところがあり、どこまで組織的な選挙戦を戦えるかに課題があるでしょう。
はたしてアメリカ初の女性大統領誕生となるのか、それとも……いずれにせよ、選挙の結果は直前までわからないもの。まずは、前哨戦となる11月の中間選挙に注目してみましょう。
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