2006年アメリカ中間選挙の投票日は11月7日。2年後の大統領選挙を占う大事な選挙までまもまくです。中間選挙とは何か、アメリカ議会の知識と合わせておさえておきましょう。今年の注目点も。
1ページ目 【まずはアメリカ議会の基礎知識を学ぼう】
2ページ目 【中間選挙と大統領・大統領選との密接な関係】
3ページ目 【2006年中間選挙がもたらす影響とは、果たして?】
【まずはアメリカ議会の基礎知識を学ぼう】
中間選挙って?
4年の大統領任期の中間に行われる国政選挙が中間選挙。2年後の大統領選挙を占う重要な意味が。 |
そして、アメリカ議会の下院議員の任期は2年。上院議員の任期は6年ですが、下院選に合わせて約3分の1づつ2年ごとに改選しています。
そのため、4年に一度は必ず大統領と議会選があり、2年に一度は必ず議会選のみがあることになります。この、大統領選と大統領選のあいだに行われる議会選を「中間選挙」といっているのです。
今年2006年は、2004年と2008年、大統領選挙の中間に行われる議会選の年です。選挙は11月の第1月曜日の翌日に行われることになっています。今年は11月7日です。
中間選挙は、2年後の大統領選に大きな影響を与えるといわれています。……ただし、そのあたりは次のページからお話することにして、まずはアメリカ議会(連邦議会)のしくみについてお話していきましょう。
下院のしくみ~国民の代表
アメリカ議会の下院で大統領が演説している様子。(Photo From Wikimedia Commons in public domein) |
いずれにせよ、人口に応じて選ばれたということで、下院議員は原理上「国民(人民)の代表」と考えられています。
下院議員の任期は2年です。そのため結構忙しい。任期後半の1年は次の選挙準備に費やされてしまうことが多いのが現状です。このことについては、下院の立法能力を阻害する原因として、アメリカでも批判されることがあります。
アメリカは基本的に上下両院対等となっていますが、下院には予算などの歳費に関する法案を上院よりも先に審議する権限が与えられています(予算先議権)。また、大統領弾劾の訴追権も下院が持っています。
ちなみに、首都・ワシントン特別区と、プエルトリコ、ヴァージン諸島、アメリカンサモア、グアムからは、投票権はないものの、提案や討議参加ができる代議員が下院に送られています。
上院のしくみ~州の代表
上院は各州2名ずつ選出されます(定員100名)。人口の多いカリフォルニア州やニューヨーク州からも、人口の少ないアラスカ州やワイオミング州からも、ひとしく2名です。こうなると当然、定数格差は何十倍にもなるのですが、これは許されています。なぜなら、上院は「州の代表」とみなされているからです。
州は、アメリカでは「準国家」です。憲法も軍隊も自前のものを持っています。州の自治を尊重するため中央政府=連邦の役割は小さな方がいい、という考え方は建国当時から根強く残っています。
そのため、州は人口に関わらず、2名の代表を送り込めるようになっているというわけです。
上院議員の任期は6年です。国民の代表である下院がそのときの国民の感情に走るのを抑えるため、上院議員は下院の任期の3倍の長さを持ち、長期的視点を持つ識見の高い者が議員になるべきだという発想です。
このようなことから、基本的に上下両院対等といっても、「格」は上院議員のほうが上です。大統領候補になるにも、下院議員からでは無理といわれますし、現実にそうなっています。
そして上院には「大統領の助言者」として、大統領が行った任命に対する同意権、大統領が締結した条約に対する同意権などが与えられています。
ちなみに、上院の議長は副大統領が務めます。
★さて、次のページでは中間選挙の意味について説明していきたいと思います。