社会ニュース/よくわかる政治

どうする?『最高裁国民審査』(3ページ目)

衆議院総選挙と同時に、最高裁判所の国民審査が行われます。なじみが薄い、判断材料がない……なんとかがんばって解説と判断材料をご提供してみます。(写真提供:東京発フリー写真素材集)

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【「最高裁判所国民審査」基礎知識】
2ページ目 【主な判例(1)大法廷・第一小法廷】
3ページ目 【主な判例(2)第一・第二・第三小法廷】

【主な判例(2)第一・第二・第三小法廷】

第1小法廷(9)「もんじゅ」事件

高速増殖炉「もんじゅ」の設置許可は違法か。

判例 妥当な手続きと審理を経ており、適法である。

今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2005.5.30)

第2小法廷(1)暴力団損害賠償事件

暴力団の下部組織がした殺傷行為について、上部の人間が使用者責任を負うか。

判例 暴力行為を賞賛しているのであれば、使用者責任は発生する。

今回審査対象の参加裁判官 津野修(2004.10.8)

第2小法廷(2)ラジオ騒音傷害罪事件

執拗に隣家に大音量でラジオを流し、過度のストレスと身体的疾患を与えることは、傷害罪にあたるか。

判例 傷害罪にあたる。

今回審査対象の裁判官 津野修 今井功 中川了滋(2005.3.29)

第2小法廷(3)不法残留罪成立について

在留申請をしていた外国人が、申請の却下を知らずにわが国にいた場合、不法残留罪が成立するか。

判例 被告人は却下以前に虚偽申請などを行っており、その時点で不法残留罪が発生する。

今回審査対象の裁判官 中川了滋【裁判長】 津野修 今井功 (2005.4.21)

第2小法廷(4)研修医未払い賃金事件

大学病院で臨床研修を行っていた医師(研修中死亡)は、労働基準法上の「労働者」になるか。

判例 死亡した医師は明らかに労務の提供を行っており、労働者とみなし大学病院は未払い賃金を支払う義務がある。

今回審査対象の裁判官 津野修 今井功 中川了滋(2005.6.3)

第2小法廷(5)ライフスペース事件

入院中の患者を退院させたにもかかわらず、有効な手当てをせず死に至らしめた場合、殺人罪は成立するか。

判例 必要な医療行為を受けさせなかった本件の場合、不作為の殺人罪が成立する。

今回審査対象の裁判官 中川了滋【裁判長】津野修 今井功 (2005.7.4)

第2小法廷(6)情報公開事件

土地開発公社が個人から買収した土地の買収金額の非公開は違法か。

判例 価格の公表は個人の特定につながらないとはいえず、非公開は違法とはいえない。

今回審査対象の裁判官 今井功【裁判長】 津野修 中川了滋(2005.7.15)

第2小法廷(7)商標登録事件

「自由学園」の名称は商標登録として使うことができるか。

判例 「自由学園」の名称には歴史的価値があり、この名称を商標登録として利用できるとした高等裁判所の判決は違法である。

今回審査対象の裁判官 津野修 今井功 中川了滋(2005.7.21)

第3小法廷 公職選挙法違反事件

特定の人のために、将来選挙運動を行おうとするものは公職選挙法上の「選挙運動者」となるか。

判例 選挙運動の意思を有するものは選挙運動を行っていなくても公職選挙法上の「選挙運動者」となる。

今回審査対象の裁判官 堀籠幸男(2005.7.6)

「どうする?『最高裁国民審査』」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。

▼こちらもご参照下さい。
大人のための教科書 政治の超基礎講座

「政治の基礎知識・基礎用語」 政治の基礎的な知識はこちらでチェック!

◎司法の権威・最高裁判所の威容


(写真提供:東京発フリー写真素材集
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます