2ページ目 【政党として届けなければ、寄付も受けられず支出もできない】
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【政党の4つの機能が果たされて、はじめて政党政治は機能する】
寄付を受ける政治資金の上限
かつては、財界から主に自民党に多くの政治献金が流れ、「金権政治」の元凶、と批判を浴びていました。そのため、1994年、政党助成制度の導入とともに、大幅な政治献金制限が行われるようになりました。
つまり、
・個人による政党または政治資金団体への寄付 最高年2000万円
・団体による政党または政治資金団体への寄付 規模により最高年1億円
となったのです。
その他の政治資金の集め方
では、これ以上政治資金を集めるにはどうすればいいのでしょう。1)街頭で小規模寄付をつのる:1000円未満の寄付は匿名寄付が許されています。
2)機関誌を作って販売:これはこれで、経費がかさみそうですが。
3)政治資金パーティを開催:これも赤字になるリスクはあります。ちなみに、機関誌の発行やパーティによって発生した収支は報告義務があります。
4)党員を募り、党費を徴集する:ただし、「団体党員」からの党費は寄付すなわち献金とみなされ、大きな制限が課せられます。党費についてももちろん、詳細な報告義務が発生します。
選挙活動上の政党の扱い
「公職選挙法」でも、「法人格付与法」と同じ定義が、政党の定義として用いられています。そのため、衆議院総選挙で比例代表区に候補をたてる(候補者名簿を提出する)には、この条件を満たさなければなりません。また、政見放送も、この条件を満たした政党でなければ、小選挙区であっても、行うことができません(衆議院総選挙の場合。簡単な「経歴放送」はしてもらえますが、政見(政治に対する主張、意見など)を披露することはできません)。
さて、ここで「そもそも政党とは……」
いやいや、ほかにもさまざまな手続があって大変です。さて、政党というのは、19世紀ごろに成立した、政治学的にはわりと新しい形態の組織です。
17世紀後半から、イギリス議会では王党派のトーリーと民主派のホイッグという派閥があったのですが、これがやがて組織化されていき、それぞれ保守党、自由党というふうになっていきます。これが政党の由来、とふつういわれています。
この動きはたちまち世界に広がり、日本でも自由民権運動とともに政党が作られ、そして明治末期には伊藤博文を総裁とする立憲政友会が結党、政党政治が進んでいきます。
政党の機能
政党には、「利益集約機能」と、「利益表出機能」がある、といわれています。つまり、国民の多様な利益をまとめ、そしてその中で重要なものを洗練し、議会に国民の意思として提示し、実行する。政党には、このような役割が求められているのです。
また、政治家を養成し、またはリクルーティングする機能、国民の政治参加を容易にする機能なども、求められているところです。
そういった意味で、「多様でない(一部集団の)利益の表出」「世襲議員の増加(新しい政治家をリクルーティングしない)」「主張がよくわからず国民がどの党に投票したらいいのかわからない」というのは、本来の政党の役割が果たせていない、といえるでしょう。
「公党」としての政党
こういったことで、政党には私的団体とはいえ、数々の公共制が求められています。そのことを最初に定義したのが、イギリスのバークという人でした。そして、先進国の中には政党が国の制度の一部として組み込まれ、管理されているところも少なくありません。「政党は第6の憲法機関」といわれるドイツなどが、典型的な例です。
ドイツ憲法(ドイツ連邦共和国基本法)では、憲法の中に政党が定義され、政党に「自由で民主的な基本秩序」の尊重を義務づけています。そして、憲法裁判所はそれに反するとされる政党の非合法化を決定できます。
実際、1952年にネオ・ナチ党が、1956年にドイツ共産党が違憲判決を受け、非合法化されました(このような「戦う民主主義」制度には批判がないこともないのですが)。
これからも、日本でいろいろな政党が作られるかもしれません。政党が一部の「私党」とならず、国民のための「公党」として機能していくにつれ、政党政治は透明化し、国民の政治参加は促されることになるのでしょう。
※今回の記事「新党のつくりかた」についての参考書籍・資料はこちらをごらんください。
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