資本提携と経営統合の違う点
大丸と松坂屋、阪急と阪神。百貨店も統合の時代へ |
では、資本提携と持株会社設立という2つの統合のスキームは、どのような効果の違いがあるのでしょうか。単に株式を持ち合うだけの、経営権を持たない程度の資本提携よりも、持株会社設立の方が、より強固な関係といえます。その理由は、共同で設立した持ち株会社を中心に、1つの企業グループとなるからです。しかし根本的な部分は、むしろ共通点が多く、消費者にとってはほとんど違いはないでしょう。
消費者にとってどんなメリットが?
そのスキームの違いではなく、視点を変えて百貨店同士の経営統合を考えて大丸と松坂屋HDのケースを考えてみましょう。イオン・ダイエー連合のスーパー業界同様に、仕入れや物流面でのコスト削減につながります。しかしスーパーと違い、低価格競争が前面に出ることは少ないと思われます。むしろ、人気商品の品揃えが変わるという点で消費者への影響があるのではないかと思われます。アパレルメーカーは、同じブランド内では人気商品を販売力のある店舗に多く提供する傾向があるからです。また、メーカーに対する発言力が高まり、商品開発に力を入れ、結果的に質の高い商品が並ぶことも期待できそうです。
「イオン+ダイエー」と「大丸+松坂屋HD」、スーパーと百貨店における流通業界の再編は、資本・業務提携と経営統合というスキームの違いはあるにせよ、共通点は多いようです。メーカーや物流業者への影響力を強くし、消費者に対しては低価格化や高品質化が図られるこの動きは、これからも続くのではないでしょうか。
【関連サイト】
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