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資本提携・業務提携と経営統合の違いとは(2ページ目)

資本提携、業務提携、経営統合。大手スーパーのイオンとダイエー、大手百貨店の大丸と松坂屋HDのケースを用い、企業同士の協力体制の違いを見ていきましょう。

執筆者:石原 敬子

「イオン+ダイエー」は「業務提携」


スーパー
流通革命!消費者にはどんなメリットが?
イオンとダイエーの業務・資本提携が正式に決まりました。イオンとダイエーが業務提携することによって、私たち消費者にはどんな影響があるのでしょうか。

両者の業務・資本提携によって売上高は6兆円規模になり、スーパー業界はセブン&アイホールディングスとの2強体制となります。商品を共同開発したり、ビジネスのノウハウを共有することによって、プライベートブランドはより低価格で質の良い商品が開発されていくでしょう。ひいては、プライベートブランド以外の競合する商品の価格低下につながります。

また、小売店側が巨大な企業グループになることで、メーカーとの力関係も変化します。価格の決定権を小売店側が握るようになり、ますます低価格化が進むでしょう。卸売業者を通さない直接取引も拡大し、この点でも低価格化は加速します。

このように削減されたコストが消費者に還元されれば、消費者には大きなメリットになります。立場が苦しくなるのは卸業者、メーカー、物流業者が考えられます。また、価格競争にうまく乗り切れない小売業者も出てくるのではないでしょうか。消費者は恩恵を受けるでしょうが、周辺業界にとっては脅威を感じる話です。

「大丸+松坂屋HD」は「経営統合」

じつは、「資本提携」も「経営統合」の1つのスキームです。経営統合とは広い意味の言葉。複数の企業の経営を1つにすることで、その形はいくつかあります。合併、持株会社の設立などがその例です。しかし、報道される際は、持株会社を設立するケースを経営統合と呼んでいることが多いようです。

持株会社を設立するケースについて、詳しくは過去記事「持ち株会社とは?」にあるとおりです。複数の企業が、企業グループのトップとなる親企業を設立してその傘下に入ります。1つの企業集団を作ることで、そのグループ内の企業同士は強い結びつきを持つことになります。

大丸と松坂屋HDも、最近多いケースと同様に、純粋持株会社を設立するものです。大丸と松坂屋HDがお互いに資金を出し合って、新しい持株会社を設立します。大丸も松HDも、その持株会社の100%子会社として傘下に入り、それぞれ存続します。大丸と松坂屋の場合は、持株会社の下で存続しますが、数年後に合併することを念頭に置いた経営統合も見られます。

合併も経営統合の1つの形ですが、複数の企業が合併する際は、経営統合と呼ばずに合併と表現して報道しているようです。詳しくは、過去記事「合併と買収ってどう違う?」を参考にして頂きたいのですが、簡単に説明をすると、合併は複数の企業が1つの企業になることです。吸収合併と対等合併があります。

では、似たようでちょっと違う、資本提携と経営統合は、どう違うのでしょうか?次のページで解説します。
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