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ICBM(大陸間弾道弾)による北朝鮮の狙い(2ページ目)

北朝鮮がICBM(大陸間弾道弾)の発射準備を進めていると見られています。北朝鮮は一体何を狙っているのでしょうか?

執筆者:鳥羽 賢

北朝鮮の狙いは……?

北朝鮮の地図
発射実験のために、長距離ミサイルが北西部の東倉里(トンチャンリ)に運び込まれたと報道されている。
一連の軍事実験に対して、日本やアメリカなど国際社会は強く非難。それでも実験をやめない北朝鮮の狙いは、一体何なのでしょうか?

1つには、現在の金正日(キムジョンイル)総書記が死亡、または指導者の座を引退した後のために、軍事力を強化する必要があるため、と考えられます。

現在は金正日が北朝鮮における絶対的な指導者として君臨していますが、金正日後の体制はまだ極めて不透明なままです。金正日には3人の子供がいますが、誰も次期指導者として正式なデビューはしていません。それは、3人の中で次期指導者にふさわしい能力や人望を備えた人物が見当たらないからだと推測できます。

そして金正日はここ最近健康状態が悪化し続けており、今後どれだけ指導者の座にいられるかわからない状態です。金正日の健康状態と後継者不足問題を考えると、北朝鮮の将来はとても難しいと考えられます。そのために、ともかく軍事力を強化したいと考えているのが現在の北朝鮮です。

日本や世界の対応は?

北朝鮮の軍事実験に対して、国際社会は強く非難しています。日本は5月26日に衆議院が、27日には参議院が、北朝鮮の核実験に対して抗議する決議を全会一致で採択しました。本来は北朝鮮に友好的だった中国やロシアも、今回の核実験を批判しています。

国連安保理では北朝鮮に抗議するために、新しい決議を採択する動きが始まっています。決議の中には北朝鮮に対する追加の経済制裁も含まれる予定ですが、中国とロシアが一部の制裁措置に反対しているため、6月1日現在でまだ採択まで至っていません。中国とロシアが反対している措置とは、北朝鮮の船舶に対する貨物検査(臨検)と、北朝鮮の銀行との取引停止措置です。

一方で日本政府は、ICBMが発射された場合に迎撃する態勢を整えています。日本はすでにミサイルに対して2段階の迎撃システムを整えています。北朝鮮からミサイルが発射された場合は、実際にそのシステムを発動させる予定です。日本のミサイル防衛について、詳しいことはこちらの記事でどうぞ。

北朝鮮のICBMがいつ発射されるかは、まだ予想でしかありません。韓国の新聞『朝鮮日報』は、6月中に発射されると報じています。それに対して他のメディアは違う時期を予想。しかしながら最も良い結果は、いつ発射されるという問題ではなく、発射されずに平穏に終わることでしょう。


参考サイト

CNN(2009/5/29)
毎日新聞(2009/5/25)
産経新聞(2009/5/29)
産経新聞(2009/6/1)
ロイター(2009/6/1)


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