まだまだある、実感が湧かない理由
庶民のフトコロに関係なく、儲けの大半は外国から |
ではもう少し丁寧に見ていくことにしましょう。
現在の景気拡張局面の途中に景気の踊り場があったということについては、踊り場とは足踏み状態のことで、はっきりとした谷を迎えなかったために1つの周期を終えていないことが原因です。その踊り場というのは、1つ目は2003年春のイラク戦争の時期で、もう1つは2004年後半頃の輸出が鈍化した時期のことを指しています。戦後において、1つの景気循環の中で、踊り場を2度経験したことはありません。はっきりとした落ち込みが見られていたら、2003年で1つの周期を終え、次の周期は2004年後半まで、そしてそこから現在の周期がスタートとしていたことでしょう。
デフレの状況については、まさに皆さんは実感していることだと思います。景気指標は、物価の下落を考慮した実質ベースでも算出されます。実質ベースでは、景気の谷を形成することなくここまで来てしまいました。物価が下落し過ぎていることで、実質ベースの景気動向指数は谷を形成しないことになってしまうのです。しかし、その数値がいくら良くても私たちが直面するのは実際の金額です。企業が人件費を抑えたその結果が今回の好景気でもあり、実質賃金は目減りしているわけですから、実感が湧くわけもありません。
実質賃金の目減りは、個人消費の伸びが見られないことにもつながります。今回の景気回復は、個人消費がリードしたのではなく、輸出産業が中心となって日本の景気を押し上げたと言っても過言ではないでしょう。米国・中国向け輸出の伸びが好調で、個人消費に頼らずとも、利益を上げることが出来たわけです。個人消費が主役になっていないのですから、実感が湧くはずはありません。
それにしても、人々が、好況と感じられないほどの地味な今回の景気が、なぜ長続きしているのでしょうか?その謎は次のページで!