【CONTENTS】
内戦の概要-目的はタミル人の独立(1P目)
未成年者が兵士として戦場に(1P目)
アフリカではまだ多く残る少年兵の問題(2P目)
撲滅のための国際的取り組みは?(2P目)
内戦の概要-目的はタミル人の独立
スリランカの地図。LTTEは北部に拠点を置いている。 |
そこで独立を求めるタミル人の一部の強硬派が、「タミル・イーラム解放のトラ(以下は英語略語のLTTEと表記)」という武装組織を1975年に設立し、スリランカ現政府に対して武力闘争を開始しました。LTTEの拠点はスリランカ北部にあるので、北はLTTE、南はスリランカ政府が陣取っている形になります。
戦闘は1983年頃から本格的に始まり、その後何度も停戦・再開を経て現在に至っています。最後の停戦合意は2002年2月に締結。しかしその後もLTTEによるスリランカ国内の爆弾テロなどが止まらず、2006年夏頃にはスリランカ政府がLTTEに拠点に空爆を開始し、内戦が再開されました。
それ以来、政府軍が徹底攻撃を続けたのでLTTEは後退を続け、現在ではLTTE制圧地域はほとんどなくなっています。政府軍はすでにLTTEの拠点に対しても攻撃を仕掛けているので、場合によっては長く続いた内戦ももうすぐ終わるかもしれない状況です。
未成年者が兵士として戦場に
LTTEが内戦中に行った行為で国際的に非難されているのが、18歳未満の児童を兵士として訓練し戦場に出している少年兵問題です。LTTEがどの程度の数の児童を兵士として雇っているのか正確なデータはありませんが、あるパキスタンの新聞が少年兵についての記事を載せたことがあります。
この記事によると、LTTEは2006年11月から2007年8月の10ヶ月間に、262名の未成年者を兵士として雇ったということです。2005年11月から2006年10月までの12ヶ月にはその数は756名だったとも報道されているので、その期間に比べればだいぶ減っていることになります。
少年兵を使っているのはLTTEだけではありません。LTTEから分派したTMVP(タミル人民解放のトラ)という組織はスリランカ政府を支援する武装勢力ですが、TMVPも未成年を兵士として戦場に送り出している疑惑がかけられています。
ユニセフなどの人権団体の報告によると、TMVPは貧しい子供などを強制的に徴集して、兵士として訓練し戦わせていると言われています。この行為が本当なら人道的に許されない話ですが、TMVP側はこの疑惑を否定しています。
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