削減の額に幅?
幅を持たせたということは変更の余地もあるということ? |
その理由は、各項目の目標数字に幅があり、その分、インパクトに欠けるということや、2007年の参院選をにらんで、削減目標が修正されることなどがちらつくからなのかもしれません。
社会保障費といえば、公的年金、健康保険、雇用保険。これらは、もう国民が嫌というほど、改正を繰り返して削減を進めてきました。もうこれ以上減らせないと言うことなのでしょうか、削減額が少なく、1.6兆円と、その数字の幅を持たせていません。
しかし、公共投資で5.6兆~3.9兆円、その他の分野で4.5兆~3.3兆円となっており、公共投資には社会保障費に匹敵するほどの額である1.7兆円もの幅を持たせ、今後の反対勢力の出方によってはどうにでもなりそうな感じをもたらしています。その他というには額の大きな4.5兆~3.3兆円、これも今度の交渉の余地で、どうにでも変更が可能な、「遊び」を持たせている感が否めません。
何よりも、「地方交付税交付金」についてひとつの枠がないこと、従ってその額も決まっていないことが、どうも怪しさを残しています。
それもそのはず、2007年夏には参院選挙
公共事業、地方と言えば、そのバックアップを連想せざるを得ません。確かに、これまでの三位一体改革で、十分地方の改革は進んだという理屈も通るかもしれませんが、まだ地方6団体が提唱していた「交付税の共有化」や、自治体の間で財源を調整する案は、提言された後、先送りのままです。このあたりに手をつける日は、果たしてやってくるのでしょうか。2007年夏の参院選がちらついたのでは、という疑念が残るのも当然かと思います。
確かに、減らす額、増やす額を計算して組み合わせれば、財政健全化の計画としては成り立つでしょう。今後、段階を経て詰めて行くとはいえ、最終的にどんな社会になりそうなのかのビジョンと、それをチャンクダウンしてみると、それぞれの分野でどんな変化があるのかを明確にしなければ、ただの机上の計算でしかありません。
となれば、歳出削減で未達成になってしまいそうな数字を増税に付け替える、なんていうことも起こらないとは限りません。今後7月に示される「骨太方針2007」では、具体的なビジョンがはっきりして本気度が国民に見えることを期待したいところです。
【関連サイト】
・「プライマリーバランスと国債の関係」
・「借金の申込み、○○円までなら貸す!?」
・「あなたの財布を直撃! いつ上がる?消費税」(All About「よくわかる時事問題」ガイドサイト)
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・「国家財政・税金・公共投資」