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改正国籍法、何が問題なのか(2ページ目)

国籍法を改正して、結婚していない日本人男性と外国人女性との間に生まれた子供にも、父親が認知すれば日本国籍を与える法案が、5日に参議院を通過して成立しました。

執筆者:鳥羽 賢

ドイツでは似たような制度が失敗

子供
子供に罪はないが、片方の親が外国人だと、いろいろ複雑な事情が生まれる。
一方のドイツでも、1998年に似たような法律が成立しました。その結果、労働ビザなど他のビザが期限切れでドイツに滞在できなくなる女性が、ドイツ国内のホームレスにお金を渡して子供の認知をしてもらって国籍を取り、子供も母親もドイツ国内の滞在許可を得るというケースが出ました。

その結果、今年になってドイツは1998年の法律を無効とする法案を通過させています。この例でお分かりのように、単に父親の認知だけで子供に国籍を与えるというのは非常に悪用されやすい制度と考えられます。

偽装認知を防止するためには、子供に国籍を与える段階で父親と子供のDNA鑑定を実施するのが確実です。しかし今回成立した改正国籍法では、DNA鑑定の義務も規定されていません。

DNA鑑定が義務づけられないのはなぜか?

それでは、今回の改正案でDNA鑑定が義務付けられなかったのはなぜでしょうか?政府や国会から正式な説明があったわけではないですが、いくつかの理由が考えられます。

1つには、DNA鑑定を強制的に行わせることが不可能という事実があります。DNA鑑定を義務付けても父親がそれを拒否し、6月に判決の出た裁判のように法廷に持ち込めば、結局6月と同じ「法の下の平等に反する」という判決が出て、前ページの裁判のように日本国籍を与える結果になるかもしれません。

2つ目は費用的な問題があります。DNA鑑定にかかる費用は数万~十数万と言われていますが、では誰がそれを負担するのかという問題になります。

3つ目は母親が日本人である場合と比べて、明らかに不公平な制度になってしまう恐れがあるからです。母親が日本人の場合は、父親が外国人でも片方の親が日本人であることは明確なので、子供は日本国籍を取得できます。それでは、父親が日本人の場合にDNA鑑定までを義務付けると、明らかに不公平となってしまいます。

今回はすでに成立した改正国籍法ですが、今後この改正に基づいて日本国籍取得の申請をする子供がどの程度まで現れるかはわかりません。しかし、ドイツの例から学ぶことは必要となってくるでしょう。


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