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政治家の発言と素質(2ページ目)

政治家の失言がいろいろと取りざたされています。政治家の発言はその政治家の素質を試されるもの。それが分かっていない政治家が少なくないよう。ちょっと考えてみました。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【能弁政治家が「あーうー総理」になったわけ】
2ページ目 【発言で試される政治家の素質】
3ページ目 【失言大臣に命を預けられるか】

【発言で試される政治家の素質】

こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

失言してはいけない要職


こんなわけで、故大平元首相はたいへん気をつかって発言していたわけですが、失言が許されない要職、というのは存在するわけですね。

さきほど申した内閣官房長官など、まさに失言が許されない人の一人です。内閣の再興スポークスマンである彼の発言は、内閣、政府の公式見解になるわけです。失言は許されません。

先だって福田前長官の後をついだ細田官房長官も、能弁家らしく、就任当初はべらべらしゃべりまくっていたようです。しかし、いろんな助言などがあったらしく、「ペラペラは卒業」と、これからは発言を慎重に心掛けるということです。

これも先ほど申しましたが、外務大臣も、失言は許されません。外務大臣の発言は、日本国の意思とみなされます。軽々にものが言えるものではありません。そういう意味で、田中真紀子元外相には、はらはらさせられました。率直なのはいいんですけどね。実際、際どい発言はずいぶん多かったように思います。

もちろん、内閣総理大臣は、失言など許されません。トップ中のトップですからね。言葉の重みも要求されます。今の総理は「人生いろいろ、会社もいろいろだ!」なんて言ってますが、「発言に重みがない」という批判は、ずいぶんあるのですよ。

失言で素質をとわれる要職


まあ、政治家などは基本的に失言などできません。だって、その頭を疑うじゃないですか。こんな人に政治を任せていいのか。基本的にはそうですよね。

しかし、国会議員や大臣という仕事はみなさんが思う以上にハードな仕事です。疲労困ぱいの会議の後、記者に囲まれてついポロリ、ということもあるでしょう。しつこい記者を振り切るため、とっさに何かいって収拾しようとして、ついポロリ、ということもあるでしょう。

そんな事情を考えると、そして、失言の多くはあまり追求しても建設的な議論がでないということもありますし、私は、よほどの確信犯的なものでない限り(これは失言とは言わないかもしれませんが)ひたすらセンセーショナルに失言を追及するのは好きではありません。

それでも、この人たちには失言をしてほしくない、という人がいます。一人は防衛庁長官。どんなに疲れていても、「有事」はやってくるわけです。どんな状況でも、機転を利かせて、われわれを守ってくれなければならない。そういう意味で、疲労困ぱいでも、ついポロリ、なんて感覚の人は、防衛庁長官の素質なしです。

もう1人、小泉内閣から加わった防災担当大臣ですね。この人にも、同様のセンスが求められます。やはり、国民の命を守る要職ですからね。どんなに疲れていても、言っちゃいけないことは言わない、そんな機転が働かない人が、いざ東海地震なんてやってきたときに、機転を働かせて、救えないかもしれない命をしっかり救えるでしょうか。

私は、とにかく防衛庁長官と防災大臣には、こういった意味で、失言なんてしないでほしい。がっかりしますし、不安にもなります。

ところが、そんな出来事が先般発生してしまいました。


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