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いろんな政治体制(2ページ目)

議院内閣制とか大統領制とか、今回は政治体制にスポットを当てて解説してみました。首相公選制とかいってますが、先進国の多くは首相は議会が選ぶ国が大半。なぜでしょう。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【議院内閣制は中世からの制度】
2ページ目 【大統領制の安定性と不安定性】
3ページ目 【政治制度で民主性は決まらない】

【大統領制の安定性と不安定性】

こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

大統領がいても「議院内閣制」の国も多い

ドイツ、イタリアなどは国家元首、つまり国のいちばんえらい人は大統領ですが、実際の国のリーダー「首脳」は首相です。

両国ともはじめは帝国、王国だったのですが、それが廃止されてしまった。しかし、議院内閣制は守りたい。こうしたことで、形式的に大統領をおいて、大統領が議会の多数党の党首を首相に任命するようになっています。

そこまでして守るのは、議院内閣制は政治が安定するからです。議会が首相を選ぶわけですから、首相と議会の対立は少なくてすみます。もっとも日本みたいに国会が形だけ、にもなりかねませんが。国民の代表が選んだ人が首相になるので民主的でもあります。ですから西ヨーロッパの国の大半は議院内閣制なのです。

「二つの代表」の対立が起こりやすい大統領制

国民が国のリーダーである大統領を直接選ぶのが大統領制です。アメリカが典型的といわれます。もっともアメリカは今でも形式上は限られた大統領選挙人が大統領を選ぶしくみですが。フランス、ロシア、韓国などさまざまな国が、この大統領制をとっています。

もっとも、フランス、ロシア、韓国など多くの国は大統領が首相を任命し、こまごまとしたことをやらせています。しかしドイツ、イタリアなどと違って大統領のリーダーシップは大変強いです。アメリカには首相はいません。

大統領制は国民から選ばれたリーダーがそのまま政治を担当するので強力なリーダーシップを発揮することができますが、場合によってはそうはいかないこともあります。大統領の他に、国民の代表である議会があるわけで、大統領と議会が、対立して政治が混乱することがあります。

記憶に新しいところでは、韓国で大統領と議会が激しく対立し、議会が大統領を弾劾訴追したということがありました(「韓国大統領、クビになる?」をごらんください。)フランスではここ20年で2度にわたって大統領の支持政党と議会の第一党がばらばらになり、大統領が反対党の党首を首相にするという事態(「コアビタシオン」)が起こっています。

なぜアメリカの大統領制は安定しているのか

しかし、大統領制発祥の地、アメリカの大統領制は安定しています。大統領の所属党と議会の多数党が異なることなど、これまで何度もあったのですが、大きな混乱は起きていません。

アメリカの政党に結束力がないのが、一つの大きな理由でしょう。共和党の議員が民主党の案に賛成することなど日常茶飯事です。だいたい、アメリカの政党に党首などいません。だれかの方針に議員が縛られることなどありません。そもそも全国大会などは4年に一度、大統領候補をきめるときだけ開かれる国です(今年はそうですね! オリンピックイヤーは大統領イヤーでもあるのです)。

だから、共和党のブッシュ大統領を民主党が結束して追い詰める、という図式がなかなか成り立ちにくいのです。

もう一つ、大統領が非常に尊敬されている、という伝統も理由の一つでしょう。大統領は国民が選んだ王であり、尊敬の対象である、という伝統は200年以上続いています。何かの時には大統領のもとに結束せよ。これも不文律です。ここが、フランスや韓国との大きな違いであるように思われます。

 
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