上場廃止判断、迷った東証
上場を取りやめる(=廃止)を判断するのは、証券取引所です。東京証券取引所は、カネボウの粉飾決算について、最終的には「虚偽記載を行い、かつ市場への影響が重大」という点が上場廃止基準に該当すると判断しました。
東証も甘い顔を見せられない事情が・・・ |
証券取引所は、公正な取引が行われなければ機能しません。証券市場に対する信頼や市場の透明・公正性を保つには、上場廃止が適当との結論に至ったのです。
もちろん、支援をしている産業再生機構は、上場廃止されると再建計画に影響が出る、ということで東証に上場を維持するように要請していました。
東証の内部でも、「上場を維持したら?」という意見もありました。すでにカネボウは経営陣を一新して、自ら粉飾決算の事実を公表していたからです。それに、再生というのは、企業をつぶすことではなく、生き返らせることを目的とするからです。
それでも東証の最終判断は、上場廃止の基準になっている「重大な虚偽記載があった場合」に該当するとして、上場廃止の判断をしました。仮にカネボウの株式を上場したままにして処分を甘くすれば、「再生支援を受けて旧経営陣が退陣したことで責任を取れば、上場廃止は逃れられるのだ」と思われてしまいます。それは、モラルハザード(倫理の欠如)を招くことになります。
ところでこのカネボウの上場廃止は、カネボウだけの話題で終わらないようです。
東証が上場廃止を判断する基準について、新たな論議を呼びそうです。そこには、東証自らが上場を控えていること、上場廃止基準が市場の実態に合わなくなったことなどがあり、金融庁が、東証に上場廃止基準の見直しを求めていく動きになりそうです。
次回の記事では、「上場廃止ってどういうこと?」から、この上場廃止基準見直しの議論までをお伝えします。
【関連サイト】
産業再生機構の再生支援とは?
上場廃止が決定!西武鉄道
有価証券報告書って何?
カネボウプレスリリース「当社株式の上場廃止について」
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