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従来型の退職金・企業年金制度とは?(3ページ目)

従来型の退職金・企業年金制度を解散する企業が増えています。その理由と今後の動きを含めた、制度の概要を説明します。

執筆者:石原 敬子

中小企業に多い制度~中小企業退職金共済制度/特定退職金共済制度

中小企業退職金共済制度と特定退職金共済制度は、どちらも、自社で退職金制度を準備できない中小企業向けに設けられました。国や地方自治体などが制度を運営していることから安心感もあり、多くの中小企業が加入しています。
また、前出の、やがて廃止される予定の税制適格退職年金の受け皿としても注目されてきています。

運営しているのは、中小企業退職金共済制度は国で、特定退職金共済制度は特定の市町村や商工会議所のような団体です。
建設業
中小企業の退職金は、国や自治体が運営

他にも多少の違いはありますが、基本的に似ている制度ですので、ここでは中小企業退職金共済制度について説明します。中小企業退職金共済制度は、会社が中退共本部と退職金共済契約を結び、毎月、金融機関に掛け金を納めます。
従業員が退職する時、中退共本部からその従業員に直接、退職金が支払われます。

(1)いくら受け取れるの?
退職金には「基本退職金」と「付加退職金」の二つがあり、両方の合計を受け取ります。

・基本退職金
今、退職するといくら受け取れるかは、年に一度、制度の事務局から会社へ書類が届きます。
受け取る金額は、掛け金を払った時期、月額掛け金、納付月数に応じて決まります。運用予定利率は、現在1.0%。この運用利率は掛け金を支払う時期によって違います。掛け金を払った時の利率が退職金を受け取るまで続きます。
運用予定利率の良い時に掛け金をたくさん支払っている場合は、その予定利率が続くので有利な場合もあるでしょう。

・ 付加退職金
運用が予定運用利回りを上回った場合、支給される上乗せ給付です。長期勤続した人を優遇する金額になっています。
 
(2)受け取るための手続きは?

<年金受け取り時>
退職金の請求は、退職した本人(死亡の場合は遺族)が手続きをします。
具体的には退職時に会社から手渡される退職金共済手帳に、「退職金(解約手当金)請求書」がありますので、必要書類を添付して、中退共本部に提出します。

3)転職したらどうなるの?

転職先の会社が中小企業退職金共済制度に加入しているかどうかにかかわらず、退職時には退職金を受け取る場合が多いようです。
ただし、転職した会社がこの制度に加入している場合で、一定の条件を満たしている社員本人が希望すれば、転職先の会社で続けることができます。その場合、次に退職する時に前の会社の分の退職金も一緒に受け取ることになります。

さて、一昔前に多くの企業が利用していた退職金・年金制度をご紹介してきましたが、大きな特徴を挙げると、従来型の制度では、運用がうまくいかなかったときには会社がその穴埋めをする、その穴埋めは、今年その企業で得た利益から回す、ということなのです。

このことは今の現役従業員へのボーナスが減ったり、来年以降の事業のためにストックしておきたい資金をへらしてしまい、退職金を保証するために、今現在の利益を食いつぶすという本末転倒な事態を引き起こす原因のひとつになっています。

次は「あてになるのか?退職金(3)“これからの退職金・年金制度”」ではこれからの主流になっていく制度についてお伝えします。

【関連サイト】「401kと将来設計」ガイドサイト「年金」ガイドサイト

【関連リンク集】
「401kと将来設計」ガイドサイト“会社の企業年金や退職金についてのページ”

★「あてになるのか?退職金」シリーズ★
「あてになるのか?退職金(1)“あてになるのか?退職金”」
「あてになるのか?退職金(2)“将来のお金とうまく付き合う法”」
「あてになるのか?退職金(3)“一昔前の退職金・年金制度”」
「あてになるのか?退職金(4)“これからの退職金・年金制度”」
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