2ページ目 【人類のために作ったスパコンがアメリカには安全保障上の脅威?】
3ページ目 【「ハイテク戦争」アメリカは本気、相手の日本は他人事の不思議】
【「ハイテク戦争」アメリカは本気、相手の日本は他人事の不思議】
「ハイテク貿易摩擦」のトラウマで戦意喪失?
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だいたい、2002年にそんなすごいスパコンが完成したというニュースすら知りませんでしたよね。それくらい、この「地球シミュレータ」への関心は日本では驚くくらい薄い。
それは国民レベルでだけではなく、政治家レベルでもそのようです。他の分野と同様、不況と財政危機でスパコン関連の予算も乏しく、これをさらに成長させようという話はない。欧米の政府高官は地球シミュレータを視察しているようですが(視察させる日本もすごい)、日本の政治家はほぼだれも来ていないようです。
思えば、1980年代から90年代初めまで、日米貿易摩擦が激しかったころは、ハイテク技術の日米競争も激しいものがありました。
しかし、日米半導体協定というアメリカ(正確には「外国製」だったが)製半導体の輸入シェアを保証させられる協定を結ばされ、国産OS「トロン」の普及をどう喝によってストップさせられ(これは日本の過剰反応という声もある。トロンはいまでも家電製品には多く使われています)、次期支援戦闘機FSXの純国産開発を断念させられ、それからどうも、日本のハイテク技術、「アメリカに勝ってやろう」という意気込みがありません。
日本では、ハイテク技術がそのまま安全保障につながらない、という認識があるからかもしれません。「地球シミュレータ」だって、これは平和目的、全地球のためのものです。アメリカと勝負うんぬんの話ではないのかもしれません。
しかし、安全保障はなにも軍事力だけではない。これからは「環境問題」もりっぱな「安全保障」。これを解決するためには、やはりハイテクが必要なはず。ハイテク技術をもっぱら軍事力に活かそうとするアメリカに対して、環境問題に活かすためのハイテク向上を日本がリードすることって、大事なんじゃないでしょうか。
それにハイテク技術で日本がアメリカと拮抗する立場になれば、日本の景気回復にも役立つはずです。日本産のコンピュータを、どんどん世界に売ろうじゃないでしょうか。
しかし、「貿易摩擦のトラウマ」があるのか、日本の政財界は今いちアメリカとの競争に無関心。これではせっかくの「勝利」も、一瞬のもので消えそうです。
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