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メガバンク統合 三菱東京+UFJ=その先は?(2ページ目)

三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスが統合すると、どうなるの?一般の預金者レベルで感じる素朴な疑問にお答えします。

執筆者:石原 敬子

UFJって大手だったんじゃないの?


●そもそもキッカケは何?

UFJホールディングスはもともと不良債権残高が多かったのです。
UFJ銀行
大手銀行までもがヘルプを出すなんて!
2004年3月末で、全体の貸付残高のうち不良債権が8.5%ありました。
みなさんの家計に置き換えて考えてみてください。100万円を人に貸しているとして、利子が払えないとか、元本が返せませんといわれたお金が85,000円ある、となったらどう思いますか?

双日ホールディングス(ニチメン+日商岩井)、ダイエー、大京、国際興業、ミサワホームなど巨額の貸付の滞りが、不良債権としてUFJに重くのしかかっているのです。

●6月に異例の業務改善命令

UFJ銀行に対して金融庁が4つの業務改善命令を出しました。
複数の業務改善命令が銀行に出されるのは異例なことです。

何が問題だったかというと・・・
・公的資金投入行に義務づけられた経営健全化計画の収益目標を下回ったこと
・意図的に検査を避ける「検査忌避」があった

などで、そのためにUFJ銀行は、収益回復策などを盛り込んだ改善計画を提出して、金融庁の定期的なチェックを受けることになりました。

そうなると、UFJホールディングスの株価も安くなります。
買収しようと思っている外資があったとすれば、日本の大手銀行を安く買うチャンスが来たとも言えるわけです。

すると、規模を拡大しようと思っていた三菱東京フィナンシャル・グループも黙っちゃいられません。外資系にオイシイところをさらわれてしまう心配もあって名乗りをあげたともいわれています。

そこまで落ち込んだUFJと合併して、三菱東京にメリットはあるの?

東京三菱看板
三菱東京の目論見とは?
お互いの強みと弱みが対照的なので、補完性があり、相乗効果も期待できそうだと読んだのではないかと思われます。

《地域の補完性》
東京三菱銀行は首都圏に店舗が多く、UFJ銀行は東海、関西にも満遍なく店舗網が広がっています。合併によって、広く全国を網羅出来ることになります。
現在の、両行の3大都市圏での店舗網は以下の通りです。

《業務の補完性》
両グループは性格が違うため、それぞれの得意分野を発揮すればスペシャルな金融グループが誕生するのではないかと期待されています。
両グループの現在の強みと弱みはこのようになっています。
関東東海関西全国計
東京三菱銀行182532232
UFJ銀行153123136422


強み弱み
三菱東京フィナンシャル・グループ大企業・富裕層の取引、財務面の強さ収益力の弱さ
UFJホールディグス個人営業4兆円の不良債権残高

ただし、この特徴の違いはデメリットにもなりかねないと思われます。

では、その問題点について次のページで見ていきましょう。
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