「段ボール肉まん」の告発スクープ、実は捏造だった!
「報道の自由」を守り続けるには、自ら衿を正す「自律の精神」が不可欠! 写真提供:フリー画像素材EyesPic |
警察の調べによると、6月中旬、北京テレビで放送中の番組「透明度」の制作のため、フリーのディレクターが中国・北京市内の肉まん屋を訪れ、厨房のレンタルを願い出ました。そして撮影当日、このディレクターは自ら購入したひき肉と小麦粉、ダンボールを持ち込み、スタッフに「段ボール肉まん」を作るよう指示。その調理過程を隠し撮りのようにハンディカメラで撮影し、スクープ仕立ての番組に仕上げ、放送したという次第です。
この捏造発覚によって、「透明度」の番組ディレクターら3人が解雇処分、局長・編集主任ら幹部3人が警告・始末書提出などの処分を受けました。一方、捏造を主導したフリー・ディレクターは、刑事罰を受ける可能性が高い模様……。
国の介入を避けるためにも、報道側は自ら衿を正す!
今回の捏造騒動は、高い視聴率を取るためにより面白い番組を、より刺激的な映像をと、「視聴率至上主義」がエスカレートした結果、引き起こされたもの。そう言えば、日本でも今年1月、人気番組「発掘!あるある大事典2」でデータ捏造が発覚! 番組を制作した関西テレビ放送の社長は、4月になって辞任を発表しましたが、「対応が遅過ぎる!」など批判が噴出しました。一方、捏造発覚の発端となった「納豆のダイエット効果」を担当した制作会社のディレクターは、「視聴率を取れる番組にしたいとの思いから、捏造やデータ改ざんに手を染めてしまった……」。国を問わず、「視聴率至上主義」はとかく暴走しがち?今後、報道側が失った視聴者の信頼を回復する道のりは、決して平坦なものではありません。ただ、番組制作の現場に関わる一人一人が「放送倫理」をわきまえなければ、結果的に「やっぱり『お上』が出て行かなければダメだ」と、国による放送行政への介入を招くことになります。「報道の自由」を健全な形で守るためには、何よりも報道する側が自らを厳しく律していく姿勢が大切!と言えそうです。
(2007年8月12日加筆)