(2003.01.16)
1ページ目 【北朝鮮が脱退表明で大騒ぎのNPTって何?】
2ページ目 【1990年代に入り一気に深刻化した核拡散問題】
3ページ目 【「NPT問題」の意外な盲点】
【北朝鮮が脱退表明で大騒ぎのNPTって何?】
「5カ国以外」は核を持たない。非核政策なのか、核独占政策なのか?
NPTとは、核不拡散条約のこと。1968年に56カ国の間で署名され、1970年に発効した多国間条約です。日本は1970年に署名しました。
この条約は、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国以外の国が核兵器を開発したり保有したりするのを禁止し、上記の5カ国も核兵器の技術を他の国に教えない、輸出しない、ということが主な内容になっています。
発効以後も加盟国は増え、現在187カ国とほぼすべての国が加盟。北朝鮮も1985年に加盟しています。よくでてくるIAEA(国際原子力機関)は、現在NPTがしっかり機能しているかどうか、監視する機関として重要な役割を果たしています。
しかし、上記の5カ国しか核保有できないというのは不平等じゃないか、という声もあり、いくたびか見直し協議が行われています。2005年に第7回再検討会議が開かれることになっていますが、できるだけ核兵器がなくなる方向で進んでいってほしいものです。
なお、核兵器の保有を禁じる条約は何もNPTだけではありません。非核兵器地帯を作る個別の地域条約もあり、南半球のほうでは非核政策が進んでいます。
また、核兵器の削減も徐々にですが進んでいます。1987年米ソ間で調印された中距離核兵器(INF)全廃条約をはじめ、1991年調印の第1次、第2次戦略兵器削減条約(それぞれSTART I・START II )などによって米ロ両大国の核兵器削減が進んできました。
しかし、いまでもアメリカは1万発、ロシアは1万5千発の核弾頭を所有しており、人類が何度でも全滅できる(オーバー=キル)できる状態は、まだ続いています。
NPTは、冷戦の時代、米ソの対立の時代は、それほど脚光を浴びてきませんでした。冷戦構造が終結した1990年代以降、問題が一気に噴出してきます。