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北朝鮮脱退で衝撃NPTとは?(3ページ目)

北朝鮮が「NPT」なるものを脱退するということでニュースは大騒ぎですが、このさい頭をクールにしてこのNPTというものがなにか、北朝鮮のわかり過ぎる目的について、考えていきましょう。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【北朝鮮が脱退表明で大騒ぎのNPTって何?】
2ページ目 【1990年代に入り一気に深刻化した核拡散問題】
3ページ目 【「NPT問題」の意外な盲点】

【「NPT問題」の意外な盲点】
北朝鮮の脱退表明はこれが2度目/はなっから加盟していない重要な国々も


北朝鮮が、NPT脱退を表明したのは、これが最初ではありません。

IAEAの特別査察に反発した北朝鮮は、1993年にいったんNPTからの脱退を表明します。これをなんとかするために、翌年アメリカとの間で「枠組み合意」が行われ、北朝鮮の核開発と、国際的な孤立をなんとか抑えたのでした。

 

そして今回の「再」脱退表明。アメリカが北朝鮮の秘密核開発の証拠となるものをつきつけた北朝鮮が開き直ったものですが、同時に、これでまた何か引き出そうというお家芸の「瀬戸際外交」であることは明らか。

人質といえた「拉致被害者」の(部分的?)解放で経済的困難を打開しようとした北朝鮮。しかし、このカードがあまり効果がない。あせった北朝鮮がカードを切りまくっている。そんなふうに見えます。

だから、アメリカも冷静です。「万一」のときの準備も万全、といわれていますが、これはアメリカの北朝鮮への牽制。ブッシュ大統領に「外交努力で解決できる」と、軽くいなされている始末。われわれも、冷静になったほうがよさそうです。

また、>実は重要な国がNPTに加盟していないことも忘れてはなりません。すなわちインド・パキスタン・イスラエル・キューバの4国です
キューバには核開発の能力はなさそうですが、カシミール地方の領有権争いが深刻なインドとパキスタンが相次いで核実験を行い、緊張が高まったことは記憶に新しいところ。

またイスラエルも「敵」が四方八方いるなか、かなり現実的に使える核兵器を所有しているといわれています。中東紛争の当事国イスラエルの核保有は、周辺諸国にとって大きな脅威であるとともに、「第3のヒロシマ・ナガサキ」を生み出しかねない懸念もあります。

そんななかでの北朝鮮のNPT脱退表明。しかし、北朝鮮と同様に、またそれ以上にNPTに入るべきである国々が入っていないことも事実。しかも日本はインドへの経済協力の再開を決定したばかり。どういうことでしょう?
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